日本のファンド(集団投資スキーム)規制

2020.06.30

I はじめに

一般に「ファンド」とは、運用の専門家が複数の出資者から出資を募り、その出資金を用いて投資を行い、投資によって生じた利益を出資者に分配する仕組みをいう。

日本ではファンドに利用可能な法形態として、主に「信託」「会社(法人)」「組合」の3つがある。投資信託は「信託」、JREITは投資法人という「会社(法人)」が使用される一方、少人数の投資家を対象とするベンチャーファンドやPEファンドは「組合」形式が利用されることが殆どである。

本稿では、組合型のファンド(いわゆる集団的投資スキーム)に関する法制度の概要について述べ、更に、2020年5月1日に施行された令和元年改正金融商品取引法の内容を踏まえた暗号資産(仮想通貨)[1]に関するファンドへの法規制の影響についても触れる。

なお、集団投資スキームの投資対象は、有価証券の他、不動産、貴金属・原油等のコモディティー等様々であり、投資対象やスキームにより不動産特定共同事業法や、商品投資に係る事業の規制に関する法律(いわゆる商品ファンド法)などの規制が適用されることもありうるが、本稿では主として有価証券や暗号資産に投資するファンドについて検討する。

II ファンドに関する日本法上の規制

1. 投資ビークルについて

組合型ファンドは、上述の通り一般に少人数の投資家を募る場合に多く用いられており、日本法に基づく組合型ファンドとしては、民法上の組合、商法上の匿名組合、投資事業有限責任組合契約に関する法律に基づく投資事業有限責任組合、有限責任事業組合契約に基づく有限責任事業組合が投資ビークルとして用いられている。外国投資家の割合(パススルーの有無)、また後述する外国法人の発行する株式等の外国への投資割合においては、英国領ケイマン諸島籍のリミテッドパートナーシップをはじめとした外国籍の組合型ファンドが用いられるが、それについては別の機会に譲ることとする。それぞれの特徴を以下に述べる。

(1) 民法上の組合

民法上の組合は、民法667条に基づき組成される。ファンドとして用いる場合には、組合員の一部を業務執行組合員として業務執行を専属させ(民法670条2項)、その他の者は非業務執行組合員として業務執行を行わせない形とするのが通常である。

投資先について制限はないが、業務執行を行わない組合員を含め組合員全員が無限責任を負うことになる。また、組合内部で各組合員の負担割合を定めることはできるが、これを対外的に主張できない。

(2) 匿名組合

匿名組合契約は、商法535条に基づく契約であり、投資家である匿名組合員と事業主体である営業者との間の1対1の契約である。そのため、「匿名組合」という団体を生じさせるものではない。対外的には、営業者が自己の名で事業を行い、その効果は営業者に帰属し、匿名組合員には帰属しない(商法536条4項)。匿名組合員は、営業者への出資義務を負い営業者から利益の分配を受ける権利を有することになる。匿名組合契約上、匿名組合員は出資の価額を超えて損益の配分を受けない形とされる場合には、匿名組合員の責任は有限責任といえる。なお、営業者による投資先について制限はない。

各匿名組合契約は1対1の契約であることから、営業者は各匿名組合員と個別に契約を締結する必要がある。

(3) 投資事業有限責任組合

投資事業有限責任組合は、投資事業有限責任組合法に基づく組合である(投資事業有限責任組合法2条2項)。投資事業有限責任組合は、無限責任組合員と有限責任組合員から構成される。無限責任組合員が業務執行をし、組合の債務の全部につき無限責任を負う一方、有限責任組合員は業務執行権限を有さず、組合の債務につき出資の価額を限度として弁済する有限責任を負う(同法7条1項、9条1項及び2項)。

投資事業有限責任組合は、その投資可能な対象が限定されており(同法3条1項)、例えば、外国法人の発行する有価証券に対する投資は50%未満に制限されるなどの規制がある。

(4) 有限責任事業組合

有限責任事業組合は、有限責任事業組合契約に関する法律に基づく組合である(有限責任事業組合法2条)。有限責任事業組合の組合員は、全員がその出資の価額を限度として、組合の債務を弁済する責任を負う(有限責任事業組合法15条)。

組合の業務執行を決定するには、原則として総組合員の同意が必要となり、重要な財産の処分及び譲受け並びに多額の借財について総組合員の同意を要する点については契約での排除が制限されている(同法12条)など、全組合員が一定程度主体的にその運用に関与する必要がある。投資対象として特段制限は設けられていないが、投資ビークル自体にLLPが用いられることは多くない(LPSの無限責任組合員としてLLPが用いられることはある)。

(表1 日本の組合型ファンドの概要まとめ)

 民法上の組合匿名組合投資事業有限責任組合有限責任事業組合
構成員無限責任の組合員無限責任の営業者と有限責任の匿名組合員(*1)無限責任組合員と有限責任組合員有限責任組合員
契約形態組合員全員を当事者とする契約営業者と匿名組合の2者間契約組合員全員を当事者とする契約組合員全員を当事者とする契約
登記の要否不要不要
組合財産の帰属総組合員の合有営業者総組合員の合有総組合員の合有
業務執行総組合員 但し、組合契約で業務執行者を定めることができる営業者無限責任組合員総組合員 但し、組合の業務執行の一部を特定の組合員に委任できる
事業の範囲制限なし制限なし株式、各種債券、金銭債権、匿名組合契約の出資持分等の取得・保有など投資事業有限責任組合法3条1項に掲げるものに限る。 外国法人の有価証券は50%未満。暗号資産への投資は不可次の業務以外は制限なし ①性質上組合員の責任の限度を出資の価額とすることが適当でない専門家の業務 ②組合の債権者に不当な損害を与えるおそれがある業務

2. ファンド持分の金商法上の有価証券該当性

このような組合型ファンドが以下の①~③の要件を充たす場合には、その持分は原則として有価証券に該当し(金商法2条2項5号、金商令1条の3)[2]、当該持分の取得勧誘(募集・私募)や出資を受けた金銭の運用につき、金商法上の各種規制がかかる(開示規制(金商法4条1項)、募集・私募や運用に関する業規制(金商法29条、28条2項、2条8項7号、28条4項、2条8項15号) 。

① その持分が民法に基づく組合契約、匿名組合契約、投資事業有限責任組合契約又は有限責任事業組合契約に基づく権利であること

② 出資者が出資もしくは拠出をした金銭又は有価証券等を充てて事業を行うこと

③ 出資者が、出資額又は拠出額を超えて、上記②の事業から生ずる収益の配当又は当該出資対象事業に係る財産の分配を受けることができること

3. 各種の規制

(1) 開示に関する規制

株券や社債など流動性が高い一定の有価証券の募集又は売出しが行われる場合には、原則として、有価証券届出書の提出のような発行に関する開示義務が要求される(金商法4条1項)。

他方、投資ファンドの持分は、通常、金商法上は第2項有価証券に該当するとされることから、金商法に基づく開示義務の対象となる場合は限定的である(同法3条3号) [3]

(2) 募集・私募に関する業規制

組合型ファンドの持分(金商法2条2項の規定により有価証券とみなされる同項5号又は6号に掲げる権利)の募集又は私募は、第二種金融商品取引業に該当するため(同法28条2項1号・2条8項7号)、自らが運営者となる組合型ファンドにつきその出資者を募る行為(自己募集)は、第二種金融商品取引業者としての登録を受ける必要がある(同法29条)。登録が申請されると、管轄の財務局による一定の審査がなされ、登録の拒否事由(同法29条の4以下[4])がある場合を除いて、金融商品取引業者登録簿に登録される。

(3) 運用に関する業規制

金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に基づいて主として有価証券又はデリバディブ取引に係る権利に対する投資として、国内の組合型ファンドの持分(金商法2条2項5号)又は海外の組合型ファンドの持分(同項6号)を有する者から出資又は拠出を受けた金銭その他の財産の運用を行うことは、投資運用業に該当する(同法28条4項3号・2条8項15号ハ)。「主として」とは、基本的に、運用財産の50%超を意味すると考えられている[5]。したがって、主として有価証券を投資対象とする組合型ファンドの資産の運用を自らが運営者として行う場合、その運用行為は投資運用業に該当し、金融商品取引業者としての登録を受ける必要がある(同法29条)。登録が申請されると、管轄の財務局による一定の審査がなされ、登録の拒否事由(同法29条の4以下)がある場合を除いて、金融商品登録簿に登録される。

(4) 募集・私募、運用の委託

上記(2)及び(3)の規制は業務を完全に他の業者に委託をした場合には下記の通り適用されない。

①募集・私募の委託

組合型ファンド持分の発行者が、その募集又は私募に関する対外的行為の一切を第三者である第二種金融商品取引業者に委託し、ファンド持分の募集の取扱い又は私募の取扱い(金商法第2条第8項第9号)を行わせる場合には、自ら有価証券の募集又は私募を行っているとは認められず、金融商品取引業に該当しないものと考えられている[6]

②運用の委託

自らが運用者として組合型ファンドを組成した場合であっても、運用行為の概要や受任者に支払う報酬の額等を定めた契約の締結、運用財産の分別管理、事前届出その他、定義府令16条1項10号の要件を充たして運用行為を他の者に一任する場合には投資運用業に該当しない(金商令1条の8の6第1項4号、定義府令16条1項10号)。

(5) 適格機関投資家等特例業務

また、上記(2)及び(3)の規制は、下記の適格機関投資家等特例業務(63条特例)を利用することにより排除され、簡易な届出のみで対応できる[7]。多くのファンドがこの例外を利用している。

適格機関投資家等特例業務における出資者の範囲は、①適格機関投資家1名以上で、②適格機関投資家以外の者で政令で定めるもの(特例業務対象投資家)[8]が49名以下であり、③いずれも不適格機関投資家(金商法63条1項1号イ~ハ、金商業等府令235条)に該当しない者とされる(同法63条1項)。

適格機関投資家等特例業務を実施する者については、金融商品取引業者としての登録義務を課さず、商号や主たる営業所の所在地等の事項についての簡易な届出のみを義務づけている(同法63条2項以下)。

なお、この制度は悪質な業者の利用によって投資被害事例が増加したこと等を理由に、平成 27 年金商法改正で規制が強化された。上記②の49名以下の投資家の範囲は不適格機関投資家に該当しない限り無制限であった(一般の個人投資家も対象に含まれていた)が、同規制強化後は、上場会社、資本金が5000万円以上である法人、保有資産1 億円以上で証券口座開設後1年を経過している個人といった特定の者に限定された。

他方、かかる投資家の限定は過度に過ぎるとしてベンチャーファンドに関しては特例が設けられた。所定の要件[9]を満たすファンドは、投資家の範囲が上場企業の役員・元役員・一定の専門家なども含むよう拡大されている(金商法施行令17条の12第2項、業府令233条の3)[10]

(表2 適格機関投資家等特例業務の49名以下投資家の範囲)

平成27年改正以前同改正以降
全ての組合型ファンド特に制限なく誰でも投資可能通常の組合型ファンド上場会社、資本金が5000万円以上である法人、保有資産1 億円以上で証券口座開設後1年を経過している個人など
ベンチャーファンド特例上記に加え、①上場会社の役員、②過去5年以内に上場会社の役員であった者等

(6) 当局による監督

第二種金融商品取引業者や投資運用業者に対しては、内閣総理大臣(金融庁)による監督がなされ、顧客資産の分別管理(金商法40条の3)等といった金融商品取引業者としての規制を遵守する必要が生じる。これらの規制に違反すると、業務改善命令等の行政処分がなされる(同法51条等)。なお、適格機関投資家等特例業者については、第二種金融商品取引業や投資運用業よりも緩和された規制が適用されることとなる。

(表3 ファンドの販売・運用につき、金商法上、必要な業登録・届出)

 

通常必要な登録

第三者に完全に委託した場合の登録

63条届出利用の可否

販売規制

出資の募集・私募(自己募集)

第二種金商業登録

登録不要

(当該第三者は第二種金商業登録が必要 左下コラム*1参照 )

63条届出で可

出資の募集・私募の取り扱い(他者設定ファンドの販売)

第二種金商業登録(*1)

第三者への完全再委託は考え難い

第二種金商業登録(63条特例の適用なし)

運用規制

50%以上有価証券に投資するファンドの運用(自己運用)

投資運用業登録

登録不要

(当該第三者は投資運用業登録が必要左下コラム*2参照)

63条届出で可

50%以上有価証券に投資するファンドから委託を受けて運用

投資運用業登録 (*2)

投資運用業登録

投資運用業登録(63条特例の適用なし)

それ以外(暗号資産含む)のファンドの運用

登録不要

登録不要

登録不要(なお、63条届出も不要)

III 暗号資産ファンドに対する規制

暗号資産ファンドといった場合、①ファンドの調達手段が暗号資産であるファンド、②ファンドの投資対象が暗号資産であるファンド、③投資家の得る権利がトークン化されているファンドなど、様々なケースを指す場合がある。

これらの暗号資産ファンドに特有の規制について解説する。また、令和元年金商法改正による暗号資産ファンドの法規制への影響について触れる。

1. 暗号資産に投資するファンド

(1) 暗号資産に投資するファンドと第二種金融商品取引業

暗号資産に投資するファンドを組合形式で組成する場合、当該ファンドに対する出資者の権利は集団投資スキーム持分(金商法2条2項5号)となる。その場合、ファンド運営者が出資の募集又は私募をするためには、原則として、第二種金融商品取引業の登録が必要であること(同法28条2項1号、2条8項7号)、適格機関投資家等特例業務の適用がありうること(同法63条)、第三者に募集又は私募に関する対外的行為の一切を委託する場合には金融商品取引業に該当しないことは、有価証券に投資するファンドと同様である。

(2) 暗号資産に投資するファンドと投資運用業

暗号資産投資ファンドの投資対象が、資金決済法上の暗号資産又は前払式支払手段に該当する場合、「有価証券又はデリバティブ取引に係る権利」への投資には当たらず、投資運用業の適用はない。

これに対して、投資対象が第一項有価証券や第二項有価証券に該当するセキュリティートークンの場合、「有価証券」に対する投資に該当することとなる。運用財産の50%を超えて有価証券に投資する場合、原則として投資運用業の登録の必要が生じる(金商法28条4項3号、29条、2条8項15号)。

(3) 暗号資産に投資するファンドと資金決済法

暗号資産交換業(資金決済法2条7項)とは、暗号資産の売買や売買の取次ぎを「業として行うこと」をいう。そこで、暗号資産への投資を行う場合にも暗号資産の売買をすることになり、暗号資産交換業への該当性が問題となるが、一般的には投資目的で行う取引は「業」とは考えられないこと、金商法上の有価証券に対する投資一任運用行為は「投資運用業」に該当し、「有価証券の売買」又はその「代理」として第一種金融商品取引業に該当するとは解されていないこととパラレルに考えると、業として暗号資産の売買をすることとはならず、暗号資産交換業(資金決済法2条第7項)には該当しないものと思われる[11]

2. 暗号資産で募集するファンド

金商法2条2項5号の規定は令和元年金商法改正以前は「金銭(又は政令で指定する金銭類似物)」で募集する場合とされており、暗号資産は金銭でも金銭類似物でもないため、脱法的と見られるような場合を除き、集団投資スキーム規制の対象外であった。

しかしながら、法改正により集団投資スキーム規制との関係では暗号資産が「金銭とみなされる」こととなったため(改正金商法2条の2)、暗号資産で募集するファンドも集団投資スキーム規制の対象となることとなる。

3. ファンドの権利をトークン化した場合の規制

令和元年の改正金商法は、電子記録移転権利という法概念を創設し、以下のとおり定義づけた。

電子記録移転権利とは、以下の①~③を満たし、④を除く権利(金商法2条3項)
① 金商法第2条第2項各号に掲げる権利(ファンド、信託受益権、合名合資合同会社の社員権など)
② 電子情報処理組織を用いて移転することができる財産的価値に表示される場合
③ 電子機器その他の物に電子的方法により記録される場合
④ 流通性その他の事情を勘案して内閣府令に定める場合

ファンドの権利をトークン化した場合、通常、上記の電子記録移転権利に該当すると思われる。

電子記録移転権利につき、改正金商法は、かかる権利が事実上多数の者に流通される可能性があることを理由に第一項有価証券と定めた(改正金商法2条3項・8項)。

電子記録移転権利が第一項有価証券に該当することにより、当該権利の募集の取扱い又は私募取扱いを業としてする行為は第一種金融商品取引業(同法28条1項1号、2条8項9号)となる。なお、電子記録移転権利に該当する集団投資スキーム持分について、自己募集・自己私募が第二種金融商品取引業に該当することや、自己私募又は運用につき適格機関投資家等特例業務(同法63条1項)の適用対象となる[12]点について、改正による変更はない。

また、電子記録移転権利が第一項有価証券に該当することで、これを募集(公募)する場合には原則として開示規制の適用を受けることとなり、発行者は有価証券届出書の提出義務(同法4条1項)や、目論見書の作成・交付義務(同法13条1項、15条1項)を負い、また、発行後の有価証券報告書(同法24条)等による継続開示も義務付けられる。もっとも、(ⅰ)適格機関投資家のみを相手方とする場合、(ⅱ)特定投資家のみを相手方とする場合、又は(ⅲ)50名未満の少人数の者を相手方とする場合といった私募に該当するにとどまる場合には、公衆縦覧型の開示規制は課されない。

なお、STOについては、別途、当事務所で各種資料を掲載しているので、当事務所ホームページ等をご参照頂きたい。

(表4 トークン化ファンドの販売・運用につき金商法上、必要な業登録・届出)

 通常必要な登録・届出第三者に完全に委託した場合の登録・届出63条届出の利用の可否
販売規制
出資の募集・私募(自己募集)第二種金商業登録登録不要(当該第三者は第二種金商業登録が必要)63条届出で可
出資の募集・私募の取り扱い(他者設定ファンドの販売)第一種金商業登録(*)第三者への完全再委託は考え難い第一種金商業登録(63条特例の適用なし) (*)
運用規制
50%以上有価証券に投資するファンドの運用 (自己運用)投資運用業登録登録不要(当該第三者は投資運用業登録が必要)63条届出で可
50%以上有価証券に投資するファンドから委託を受けて運用投資運用業登録投資運用業登録投資運用業登録(63条特例の適用なし)
それ以外(暗号資産含む)のファンドの運用登録不要登録不要登録不要(なお63条届出も不要)
  • 表3(トークン化しないファンド)と差がある部分。表3では第二種金商業となる

(表5 開示規制)

募集・私募の区分

募集・私募等の相手方

開示義務

私募

適格機関投資家私募(*1)

適格機関投資家に限定

通常無し

少人数私募(*1)

49名以下に限定

特定投資家私募(*1)

特定投資家に限定

募集

多数

有価証券届出書(*2)

(その他、半期報告書、臨時報告書等の継続開示についても留意する)

 

(*1) 技術的手段で転売先を限定

(*2) 発行価格の総額が1億円未満の募集の場合、有価証券届出書(金商法第4条第1項第5号)の届出義務が免除される

以 上


[1] なお、令和元年資金決済法及び金商法改正により、仮想通貨が暗号資産という法令上の呼称に変更された。これは、国際的にcrypto-assetという表現が用いられていることや、法定通貨との混同を避けるためである。そこで、本稿でも、暗号資産という用語を用いる。

[2] 投資ファンドが①~③の要件を充たす場合であっても、(1)出資対象事業に係る業務執行がすべての出資者の同意を得て行われるものであること、(2)出資者のすべてが、ⅰ出資対象事業に常時従事する、又はⅱ特に専門的な能力であって出資対象事業の継続の上で欠くことができないものを発揮して当該出資対象事業に従事すること、の両要件を充たした場合(金商法2条2項5号イ、金商令1条の3の2)の他、一定の場合には投資ファンドの持分が有価証券に該当しない場合がある。

[3] ファンド持分が「有価証券投資事業権利等」に該当する場合や改正金商法により定められる「電子記録移転権利」に該当する場合には、開示規制の対象となる(金商法3条3号)。有価証券投資事業権利等とは、原則として、ファンドの出資額の50%を超える額を充てて有価証券に対する投資を行う場合をいう(同号イ、金商令2条の9第1項)。電子記録移転権利については後述のとおり。ただし、その場合もファンド持分を取得する者が500名を超える場合(「募集」金商法2条3項3号、金商令1条の7の2)に限られる。

[4] 金融商品取引業登録取消処分から5年を経過しない者、金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者、金融商品取引業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない者については登録が認められない。

[5] 金融庁パブコメ回答190番等[平19.7.31]

[6] 金融庁パブコメ回答103番等[平19.7.31]

[7] ただし、平成27年金商法改正以降、届出書及び添付書類の拡充(例:適格機関投資家の名称等の記載)、また事業報告書の提出等が義務付けられた。

[8] 金商法施行令17条の12第1項、業府令233条の2に列挙された者。

[9] 金商法施行令17条の12第2項、業府令233条の4、239条の2第1項に定める要件。

[10] ベンチャーファンドに関する特例で特例業務対象投資家に加わる者は、①上場会社の役員、②過去5年以内に上場会社の役員であった者、③通算1年以上の期間、会社の役職員又はアドバイザーとして会社の運営に関する一定の業務に従事し、かつ、最後に従事してから5年以内の者、④経営革新等支援機関として認定されている公認会計士、弁護士、司法書士、行政書士、税理士等である。

[11] 西村あさひ法律事務所編「ファイナンス法大全[全訂版](下)」870 頁、871 頁も参照のこと。

[12] 電子記録移転権利についての自己私募又は運用が適格機関投資家等特例業務に該当するとされるためには、以下の区分に応じた要件を満たす必要がある(改正金商法63条1項1号、改正業府令234条の2第1項3号)

① 適格機関投資家が出資者となる場合

  電子記録移転権利を適格機関投資家以外の者に移転することができないようにする技術的措置がとられていること。

② 特例業務対象投資家が出資者となる場合

  電子記録移転権利の取得者が当該権利を一括して他の一の適格機関投資家又は特例業務対象投資家に移転する場合以外に移転することができないようにする技術的措置がとられていること。