メタバース×法律 I -メタバースとは何か

2022.07.20

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当事務所では、現在、メタバースに関する各種のお問い合わせを頂いております。

その中には重複するご質問もあり、本連載ではメタバースで問題となる主要な法的問題をできるだけ分かりやすく、連載していく予定です。

メタバースBlog連載の予定
(1)  メタバース×法律 I – メタバースとは何か
(2)  メタバース×法律 II – ユーザーの演奏や歌唱、ユーザー作成コンテンツ(ワールドやアバター)と法律 [https://innovationlaw.jp/metaverse2/]
(3)  メタバース×法律 III – メタバース上の取引に関する法律 – 所有権、支払い、NFT規制、労働など
(4)  メタバース×法律 IV – メタバース上の嫌がらせ、不法行為、名誉棄損
その他の当事務所のメタバース関係のBlog等
(1)  都市再現型メタバースにおける知的財産権の整理(2022.05.13)
https://innovationlaw.jp/metaverse-ip/
(2)  クリプト業界のためのメタバース入門(2022.05.30)
https://www.slideshare.net/SoSaito1

また、NFTに関する記事も多数アップしていますので、メタバース上でNFTを利用する場合、当事務所のその他の記事をご参照下さい。

1 メタバースとは何か

メタバースの定義は論者により異なりますが、多くのイメージとしてはVR(Virtual Reality)などの機材を使い、3Dの仮想現実空間で遊び、交流をする等のイメージになるものと思われます。最終的には、レディ・プレイヤー1、竜とそばかすの姫、Sword Art Onlineなどの世界感を目指すイメージです。しかし、メタバースはこのような用途に限られるのではなく、他にも産業用のメタバース、物理拡張メタバースなど様々なものが存在します。

更にVRなどを利用することは必須ではなく、Fortnite、Robotex、どうぶつの森などの3Dないし2Dのゲームもメタバースと考える論者も存在し、どのような文脈でメタバースという用語が使われるのかは留意が必要です。

             (公式ツイッターサイトhttps://twitter.com/sao_animeより)

例えば、一般社団法人Metaverse Japanでは、メタバースについて下記のように考えていると思われ、参考になります。

メタバースとは何か
①    メタバースという言葉自体は非常に広範に使われており、それぞれの業界がそれぞれの理解でメタバースを名乗っているのが現状
②    今後テクノロジーや時代の変化の中でメタバースという概念が収斂していくものと想定
③    メタバースとは「仮想現実空間を利用し、ユーザー同士のコミュニケーションや現実さながらのライフスタイルを可能にする世界であると同時に、物理世界を拡張する世界」という大きな枠組み
④   10年後には多くのアプリがVRやARにネイティブ対応可していくことを想定しているので、現時点でXRに対応しているか否かは最重要事項ではない
出典: Mogura VR編集部「「日本のメタバース関連団体は「メタバース」をどう捉えているのか?各団体に問う」から一般社団法人Metaverse Japanの回答(以下「Metaverse Japan回答」という。)を参考に記載 https://www.moguravr.com/metaverse-related-organizations-questionnaire

2 メタバースの具体例

上述したMetaverse Japan回答によると、一般社団法人Metaverse Japanではメタバースを下記の6つに分類していると考えられ、参考になります。

  分類 どういうもの? 具体的例
1 産業用メタバース 製造業や各種シュミレーション、XRミーティングを活かした共創ツールといった、産業用途のメタバース NVIDIA社の提唱するomniverseやMicrosoft社の提唱するMicrosoft Meshのように
2 物理拡張メタバース 人間とロボットの共通認識を持つデジタル空間としてのメタバースや、ARを活用したメタバース。リアル拡張までを概念として含む  
3 バーチャルSNS ユーザー同士の交流や関係性を拡張的に構築する場としてのメタバース
アバターやワールド等を一般ユーザーが製作できるようSDKが公開されているものが多く、バーチャルネイティブなカルチャーを発信するユーザーコミュニティも発展
Cluster
4 Web3メタバース Web3要素と紐づいたメタバース
NFTや仮想通貨が発行されることが多い
Sandbox、Othersid、Decentraland、Oncyber、RTFKT、HighStreet
5 IP主導メタバース(エンターテイメントメタバース) ディズニーなど強力なIPが主導するIP完結メタバース
東京ガールズコレクションなどイベント単位のメタバース
ディズニーメタバース、ガンダムメタバース、東京ゲームショウ、東京ガールズコレクションメタバース
6 ソーシャルプラットフォーム型のゲーム 事実上の次世代ソーシャルプラットフォームとして稼働しているゲーム
注:これらのゲームをメタバースに含めるかは様々な議論があるが、これらの動向を全く見ないでメタバースを語ることは、大きな時代の変化を見過ごすリスクが高いので、Metaverse JapanではWGのメイン要素ではないが取り扱う、としている。

Roblox、Fortnite、どうぶつの森

出典        上記Metaverse Japan回答を参考に弊事務所で加筆・修正

(Microsoft公式サイトhttps://docs.microsoft.com/ja-jp/mesh/overviewより)                           (Cluster公式サイトhttps://cluster.mu/より)
(The Sandbox公式サイトhttp://sandbox.game/jp/より)                             (バーチャルTGC公式サイトhttps://virtualtgc.girlswalker.com/より)
(Epic Game公式サイトhttps://www.epicgames.com/fortnite/ja/homeより) (あつまれどうぶつの森公式サイトhttps://www.nintendo.co.jp/switch/acbaa/index.htmlより)

3 メタバースとプレイヤー

メタバースには幅広いプレイヤーが参加しています。例えば、以下のようなメンバーが参加しています。

(参考) メタバースマーケットマップ

(参考) メタバースカオスマップ

           (Diarkisサイトhttps://multiplayer.diarkis.io/metaverse-caosmapより)

4 メタバースとNFTとの関係

メタバースでは、NFT(Non Fungible Token)と呼ばれるトークンが使用されることがあります。NFTを利用することにより、メタバース内での財産的価値を把握したり、移転をしたり等ができることから、メタバースとNFTは親和的と考えられます。

しかし、NFTの利用は必須ではなく、財産的価値の購入や移転の概念がないメタバースも多数存在しています。産業用メタバース等、財産的価値の購入や移転は必要ないことが多いでしょう。また財産的価値の購入や移転があっても、Web2型のメタバース、例えば企業1社が運営し、運営する1つのメタバース世界で完結する仕組みであれば、わざわざブロックチェーン技術を使ったりNFTを使ったりする必要はありません。

 上述したMetaverse Japan回答では「Web3の要素と絡んだメタバースにおいてNFTは重要ですが、Web3要素のないWeb2型の企業が運営するメタバースのほとんどでは、今後もNFTは関連づけられません。数年の間はWeb3型のメタバースとWeb2型のメタバースは各々別々の進化をたどる期間が続くと予想しております。」としています。

このようにメタバースとNFTは一致するものではありませんが、NFTが重要な要素であること自体は間違いないと思われるため、本連載では別途、メタバース上のNFTの利用の法律関係について記載する予定です。

各種のメタバースと NFT の使用の有無

  分類 事例 財産の購入の例
1 アイテムの購入、移転などがないメタバース 多くの産業用メタバース、物理拡張メタバース なし
 2 アイテムの購入、移転などがあるが、1社で完結するメタバース(Web2型メタバース) 多くのゲーム、多くのIP主導型メタバース、多くのソーシャル型メタバース 例えばFortniteではV-bucksというゲーム内通貨を購入し、スキン(コスチューム)を購入できる。
クラスターではアバターをクレジットカード、アプリ課金で購入できる。
3 他の世界との間でアイテムの移転等を考えるメタバース(Web3型メタバース) Sandbox、Decentralandなど NFT化されたランド、武器などを、ETHやDOTなどの暗号資産で購入できる

留保事項
本稿の内容は、法令上、合理的に考えられる議論を記載したものにすぎず、関係当局の確認を経たものではありません。本稿は、メタバースにおける法的論点について議論のために纏めたものにすぎません。具体的な案件における法的助言が必要な場合には、各人の弁護士等にご相談下さい。