Embedded Finance(Modular Finance)の概要と日本法、日本での可能性

2021.02.10

本書ではEmbedded Financeの概要、考えられる事例、その場合に適用があると考えられる日本法について紹介します。

I Embedded Financeの概要

1 Embedded Finance

Embedded Finance(Modular Finance)は、日本語では埋込型金融、組込型金融、モジュール型金融、プラグイン金融などと呼ばれることがある。

<概念>

「金融以外のサービスを提供する事業者が金融サービスを既存サービスに組み込んで金融サービスを提供する」。

金融サービスに必要な基幹システムをAPIベースで提供することで、誰もが低コストに金融サービスをエンドユーザーへ提供することが可能になる。

Embedded Financeという金融を組み込むというアイデアがアメリカで一気にメジャーになったのは、著名VC a16zの2020年1月のブログ「Every Company Will Be a Fintech Company」が契機とされる。

米国での議論、本邦における金融商品仲介業の導入や割賦販売法改正の影響もあってか、日本でも多くのFinTech業界有識者が2021年はEmbedded Financeの年になるとしている。

<2021年はEmbedded Financeの年とするもの>

日本マイクロソフト業務執行役員 金融イノベーション本部長 藤井達人氏 https://www.sbbit.jp/article/fj/49774 (1)今後最大のゲームチェンジャー “モジュール型金融”
 2019年の記事で指摘した通り、2020年はBaaSの発展形として、embedded finance(埋込型金融)、あるいはmodular finance(モジュール型金融)という言葉が生まれました。金融の機能化がさらに進み、必要なテクノロジーを体系化した「テクノロジースタック」のネイティブレベル(OS上で直接実行可能なプログラム)までカジュアル化(=すぐに使える)されていくという考え方です。2021年以降は、モジュール型金融とその利用が加速度的に進むことになりそうです。
 非金融企業がフィンテックを取り入れるメリットはいくつか存在します。1つ目は、顧客のリテンション率向上です。一般企業が顧客にお得な決済手段、あるいは積立投資などを提供すると、他社サービスに移りにくくなるというものです。他には、自社のデータを活用して精度の高い与信やレコメンデーションなど、より良くチューニングした金融サービスを提供できるという事もあります。
 一般企業が金融サービスを検討する際、自ら必要なライセンスを取得するのは時間とコストがかかります。したがって、他社のサービスを借り受けて自社顧客に提供する方がトータルで見るとコスト効果が高まります。
 当然、導入までの時間が短くコストも低いサービスが好まれますから、実装上もコード数行で自社サービスに“カジュアルに”埋め込めるモジュール型金融が増えていくでしょう。接続するまでに要件定義をして開発をして・・という旧来型の開発リズムはオンラインの時代にはそぐいません。モノによっては即日サービスを提供開始できるぐらいのスピード感が実現されていくはずです。
FinatextホールディングスCFO伊藤 祐一郎氏 https://note.com/110_110_110/n/n5b96a49725cc アメリカでは、これまでは「Banking as a Service」という言い方が主流であったが、銀行が提供するビジネスにとどまらず金融業界全体のトレンドになってきたことから、現在では「Embedded Finance」という表現が圧倒的に増えている(さらに最近では「Modular Finance」という言い方も)。 私自身もこの「Embedded Finance(プラグイン金融)」という表現の方がしっくりきている。「Banking as a Service」だと、どうしても”誰が”金融を提供するのかという視点が強いが、「Embedded Finance(プラグイン金融)」は”どこに”金融機能を置くかという視点が強い表現だと思っており、まさにそこに次の金融の未来があると考えているからだ。 2020年は、この「Embedded Finance(プラグイン金融)」の中核となるプレイヤーやシステムが立ち上がり始めた。来年は本格的なユースケースが数多く出てくる1年になるだろう。

<懐疑論>

他方、懐疑論もあり、米国でのEmbedded Financeの発展は、多くの会社(例 Uber)にとっては中心領域に経営資源を当てた上で非中心領域はサードパーティーに任せた方がより効率的に成長するのに対し、日本市場はマーケット規模が小さく、多くのメガプレイヤーは非中心領域も内製化しようとする、その結果、FinTech企業にとっての提供先は小粒になり、結果、フィーも高くなりスケールしないのでは、という声もあるようだ。

カンムCEO八巻渉氏 https://twitter.com/8maki/status/1347764266263216128 https://note.com/8maki/n/n7ad584539860 「2021年FinTechトレンドとして皆挙げてるのがEmbed Financeですが、日本において自分はちょっと懐疑的です。正確には、非金融サービスに金融機能が乗るのは必然だが、そこでサステナブルなエコシステムはできないと思っている。つまりEnabler不在で結局大手がメインかつ皆内製化する方向性だと思う。」 「というのも日本で1000万MAUとかあるようなメガサービスは自分でできちゃうから。よってBaaS企業が育たないと思うのです。つまり中小型案件ばかりをさばくことになり、アップサイドが限定的で、その分値段に転嫁されて、割高となり、またそれも内製化を加速するという。日本にUberはありません。」 「端的に言うと日本は市場が小さい。市場が小さいが故に、本業に注力するためサブ機能はAPIでっていうのが起きにくい。サブ機能も本業にしないと成長できないから。本業にでは費用削減圧がすごいので結局内製化するし、顧客が少ないのでBaaS費用も高めに。」

積極論、懐疑論いずれもあるものの注目領域であることは間違いなく、本書ではEmbedded Financeの概要と、日本で導入する場合の法令を検討することとした。

2 Embedded Financeでの登場人物の役割

Embedded Financeの登場人物の役割は概要、下記の3つに分けられる。

<出典:前述伊藤氏Note>

詳細は伊藤氏Noteをご参照されたいが米国では1,2,3が分化し、中国ではメガプレイヤーが1~3を兼務しているのに対し、日本では、上記1のBrandに対し、上記2と3を兼ねるFintech企業が仕組みを提供する、と予想されている。

他方、日本でもメガサービスは内製化するという懐疑論によると、メガサービスが1~3を兼務し、かつメガサービスごとに自社サービスが併存することになろう。

例えば、メルカリの金融サービスはメルペイ社によって提供されており、メルカリが上記1、メルペイが2と3ということになるが、完全なグループ企業であり、これもメガサービスによる内製化の一種と考えられる。

II Embedded Financeのサービス例と日本法

下記ではまず各項目の(1)で米国でのEmbedded Financeの事例をHydrogen社Head of MarketingのScott Raspa氏の”6 Examples Of Embedded Finance Changing The Future”と題するBlog(https://www.finextra.com/blogposting/19524/6-examples-of-embedded-finance-changing-the-future)を参考に紹介する1

その後、各項目の(2)で、裏側でシステム提供等を行うFinTech企業(通常はEnablerとLicense Holderを兼務するのでその例を中心に記載)が類似サービスを日本で提供しようとする場合に如何なる規制が適用されるかを検討し、(3)で同サービスの提供を受けるBrand(顧客に接点を有する企業)にどのような規制が適用されるかを検討する。その後、(4)で各業務に関する犯収法/AMLの規制があれば、その検討を行う。

1 Embedded Payment(埋め込み型支払い)

(1) 米国でのサービス例

現金で支払ったりクレジットカードで支払ったりするのではなく、支払いプログラムが組み込まれたアプリを使用している消費者が、幾つかのボタンをタップするだけで簡単に支払いができるもの。 プログラムの例として、Uberや Lyftなどのライドシェアリングアプリがある。これらのアプリで乗車する場合、最後に運転手に現金を渡したり、デビットカードやクレジットカードを引き出して支払う必要はなく、代わりに 利用が終わった後、アプリでトランザクションを完了できる。 スターバックスのファンも埋め込み支払いを使用できる。このアプリを使用すると、携帯電話から注文して支払いを行うことができる。また、将来の購入の際に使用できるポイントもユーザーに付与している。

参照:前掲Scott Raspa”6 Examples Of Embedded Finance Changing The Future”

(2) 類似サービスを日本でEnabler/License Holderが導入する場合の日本法の検討

ユーザーが、アプリ経由でサービスや物品の購入をし、そのアプリ上でサービス提供者や物品販売者(以下、ここでは単にBrandという。)への対価の送金(支払)までも併せて行うようなビジネスを日本で導入する場合を考える2

この場合、考えられる方法としては、以下の4つが考えられる。

① ユーザーの銀行口座からBrandの銀行口座へ直接送金がなされる。送金指図はBrandがユーザーに代わってユーザーの銀行に対して行う。なお、FinTech企業はBrandにそのソフトウェアのみを提供する等が考えられる
② ユーザーの銀行口座からBrandの銀行口座へ直接送金がなされる。送金指図をBrand以外のFinTech企業がユーザーに代わってユーザーの銀行に対して行う
③ ユーザーの銀行口座からBrand以外のFinTech企業に「収納代行」として送金がなされ、その後当該FinTech企業がBrandに送金を行う
④ ユーザーの銀行口座からBrand以外のFinTech企業に「為替取引」のために送金がなされ、その後当該FinTech企業がBrandに送金を行う。なお、アプリ使用の決済のためであれば収納代行で足り、アプリ使用の決済以外にも送金ができる等のサービスとなることが考えられる

以上のその仕組みにより規制が異なり、それぞれ検討する。

① 直接送金、指図はサービス提供会社

規制は存在しない。預金者に代わって銀行に指図を行う点で下記②で述べる電子決済等代行業の適用が問題となるが、銀行法施行規則1条の3の3第4号の除外規定3に該当することが通例と思われる。なお、BrandにFinTech企業が単にソフトウェアを提供しているだけであれば、FinTech企業にも規制は適用されない。

② 直接送金、指図は別途のFinTech企業

FinTech企業は自ら為替取引を行わず、銀行に対して、ユーザーから為替取引の指図を伝達する電子送金サービスプログラムをAPI提供し運営する者として、電子決済等代行業の登録を受ける必要がある(銀行法2条17項1号、52条の61の2)。

③ FinTech企業による収納代行

下記④で述べる「為替取引」の適否が問題となるが、一般に対価の回収をして当該資金をBrandに引き渡すといった、収納代行サービスとしてビジネス設計する場合には、原則として銀行法の適用対象外になると考えられ4、銀行業や資金移動業の登録を要しない。

④ FinTech企業による為替取引

「為替取引」を行う者として銀行業の免許を得るか(銀行法2条2項2号、4条1項)、資金決済法の資金移動業者としての登録を受ける必要が生じる(資金決済法2条2項、37条)。

資金移動業の登録を受けるには、財産的基礎や体制整備等(同法40条1項3号、4号、5号等)の要件が求められ、資金移動業者は、その取り扱える送金1回あたりの上限金額が100万円(資金決済令2条)に制限されるなど、種々の規制が課される。 なお、2020年6月に成立した改正資金決済法においては、取り扱える送金額に応じて資金移動業が第一種から第三種までの3つに区分され、第一種については上限金額が撤廃されるとともに、第二種は100万円、第三種については特に少額として政令で定める額がそれぞれ上限になるなど、一定の規制緩和がなされている。

(3) 類似サービスを日本でBrandが導入する場合の日本法の検討

① 物の販売やサービスに紐づく決済の場合

Brandが、上記(2)①、②、③を導入する場合、Brandには規制はない。

② 物の販売やサービスに紐づかない送金の場合

Brandが上記(2)④の仕組みを導入する場合(例えば資金移動業者であるEnabler/License Holderが提供する送金プログラム(為替取引プログラム)にAPI連携した場合)、Brandについても資金移動業の登録が求められるかが問題になる。
この点、Brandが、為替取引業務を行うEnabler/License Holderとユーザーを繋ぐ窓口となるUIの提供を行っているに過ぎなかったり、ユーザーから資金の受領を取り扱っているだけなど、Enabler/License Holderの為替取引業務の全てを担っているような場合でなければ、Brand自身は、資金移動業者の一部業務の委託先(資金決済法38条1項8号)として、資金移動業の登録は求められないと考えられよう5。なお、資金移動業者であるEnabler/License Holder側は、Brandに、為替取引業務の契約の代理や媒介など、資金移動業の一部の委託を行う場合には、委託業務の適正かつ確実な遂行を確保するために必要な措置を講じなければならないと思われる(同法50条、資金移動府令27条)。

(4) 犯収法/AMLの検討

① 物の販売やサービスに紐づく決済の場合

上記(1)の①②③の場合、犯収法上の本人確認義務はない。

② 物の販売やサービスに紐づかない決済の場合

上記(1)④の場合、資金移動業者は、犯収法に基づき、本人確認義務や疑わしい取引の届出義務等を負う特定事業者に該当する(犯収法2条2項30号)。そのため、①現金の受払いをする取引であって、当該取引の金額が10万円を超えるもの(犯収法施行令7条1項1号ツ)、②預金又は貯金の受入れを内容とする契約の締結に係る取引を行うことなく為替取引を継続的に又は反復して行うことを内容とする契約の締結(同号ナ)を行う場合には、本人確認が必要となり、IDやPWを交付して会員登録を行うケースは基本的に②に該当するものと思われる。

2 Embedded Lending(埋め込み型貸付)

(1) 米国でのサービス例

以前は、誰かがお金を借りる必要がある場合、銀行にローンを申請したり、クレジットカードを作ったりすることによっていた。現在、埋め込み型貸付により、物品の購入時に融資を申請して融資を直ぐに受けることができる。埋め込み型融資のユースケースには、 Klarna と AfterPayが含まれる。これらのプログラムでは、消費者はオンライン購入をいくつかの小さな月々の支払いに分割することが出来る。たとえば、100ドルの支払いは、25ドルの4回の分割払いになる。

参照:前掲Scott Raspa”6 Examples Of Embedded Finance Changing The Future”

(2) 類似サービスを日本でEnabler/License Holderが導入する場合の日本法の検討

上記取引を日本で行うことを考えた場合、これは(自社)割賦販売、信用(割賦)購入あっせん、ローン提携販売、提携ローン提供をアプリでシームレスに行う取引ということになろう。

割賦販売、信用購入あっせん、ローン提携販売、提携ローンは、それぞれの取引の種類に応じて、以下のような規制に服する。

① 割賦販売(自社割賦)

割賦販売(自社割賦。割賦販売法2条1項)とは、概要以下のサービスである。

割賦販売(自社割賦)
(i)    事業者が、代金を2カ月以上かつ3回以上の割賦払い又はリボルビング払いで受領する定めにより、
(ii)   政令指定商品・役務・権利を販売する取引。

自社割賦の場合、License HolderとBrandを兼任すると思われるため、規制は下記(3)①で触れる。
なお、システム提供するのみのFinTech事業者には特段の規制はない。

②  信用購入あっせん(包括信用購入あっせんと個別信用購入あっせん)

信用(割賦)購入あっせんは、包括信用購入あっせん(割販法2条3項)と個別信用購入あっせん(同法2条4項)に分けられ、概要以下のサービスである。

包括信用購入あっせん   
(i)       事業者が、あらかじめカードやID等をユーザーに交付し、
(ii)      ユーザーがそのカード等を利用して、特定の販売業者から商品等を購入するとき、
(iii)     その代金相当額を販売業者に交付し、
(iv)      2カ月超後払い又はリボルビング払いを受ける取引。
(v)       なお、カードやID等を発行する際、与信の審査を行うとともに利用限度額や支払条件等を定めるため、通常、商品購入の際は個別的な審査がない。
個別信用購入あっせん
(i)         事業者が、カード等を利用することなく、
(ii)        特定の販売業者から商品等を購入するとき、
(iii)      その代金相当額を販売業者に交付し、
(iv)       2カ月超後払い又はリボルビング払いを受ける取引。
(v)        なお、個別の商品やサービスの購入ごとに与信が行われる。

信用購入あっせん業に対しては、事業者の登録制(同法31条、35条の3の23等)、取引条件表示義務(同法30条、35条の3の2)、書面交付義務(同法30条の2の3、35条の3の8等)の規制がある。いわゆるマンスリークリア6は規制対象外となる。
なお、2021年4月施行の改正割賦販売法により、少額の分割後払い規制が導入され、極度額(利用限度額)10万円以下を条件として、包括信用購入あっせん業者について規制緩和が行われている。7

③  ローン提携販売

ローン提携販売(同法2条2項)とは、概要以下のサービスである。

(i)            販売業者が、あらかじめカードやID等をユーザーに交付し、
(ii)           ユーザーがそのカード等を利用して購入した商品代金等の支払いに充てるため、与信を行う金融機関から金銭を借り入れ、
(iii)         ユーザーの金融機関への割賦払い又はリボルビング払いの支払い条件による借入金債務を、
(iv)          販売業者が連帯保証して、
(v)           指定商品役務・権利(同法2条5項、割販法施行令1条・別表1)を販売する取引。

ローン提携販売に対しては、取引条件表示義務(割販法29条の2)、書面交付義務(同法29条の3)等の規制があるが、登録制等の開業規制はない。但し、金融機関によるローンについては別途貸金業や銀行業の適用があり、また媒介規制の問題もあろう。なお、現在ローン提携販売はほぼ使用されていないようである8

④ 提携ローン

Brandが住宅や車など高額の商品を販売するに際し、あわせてBrandから紹介された金融機関が住宅ローンなどのローンを提供することがある。このような場合で割賦販売法上の指定物品や指定役務ではない場合や、Brandによる保証がない場合には、上記③のローン提携販売ではなく、通常、提携ローンと言われるものと思われる。

この仕組みをAPIを利用してEmbedded Financeで行うことが考えられる。具体的には、Enabler/License Holder が、Brandに対し、金銭の貸付けを実現するプログラムのAPIを提供し、Enabler/License Holderとユーザーが金銭消費貸借契約を締結する。

この場合、当該プログラムの提供によるローンは銀行業(銀行法2条2項1号)又は貸金業(貸金業法2条1項)を行うものとして、Enabler/License Holderについて免許又は登録が必要となる(銀行法4条1項、貸金業法3条)。

(3) 類似サービスを日本でBrandが導入する場合の日本法の検討

① 割賦販売(自社割賦)

この場合、BrandがLicense Holderになると思われる。自社割賦に対しては、取引条件表示義務(同法3条)、書面交付義務(同法4条)等の規制があるが、登録制等の開業規制はない。なお、指定商品を引き渡すに先立って、購入者から2回以上にわたりその代金の全部又は一部を受領する「前払式割賦販売」については、経済産業大臣の許可等が必要である(同法11条)。

② 包括信用購入あっせんと個別信用購入あっせん

Enabler/License Holderが提供する信用(割賦)購入あっせんについて、Brandが取引の媒介を行う場合、Brandに適用される法規制はない。

③ ローン提携販売

Enabler/License Holderが提供するローン提携販売について、金融機関とユーザーとの消費貸借契約を含めてBrandが取引の媒介を行う場合、銀行代理業や貸金業の媒介規制を検討する必要がある。下記④をご参照ください。

④ 提携ローン

Brandが貸金サービスの媒介を行う場合には、「資金の貸付けを内容とする契約の締結の媒介」が銀行代理業(銀行法2条14項2号)として規制されているため、内閣総理大臣の許可(同法52条の36)、もしくは、「金銭の貸借の媒介」が貸金業(貸金業法2条1項)として規制されるため、貸金業の登録(同法3条)が必要になる。

または、2020年6月5日に「金融商品の販売等に関する法律」が改正されて名称変更した「金融サービスの提供に関する法律」に基づく「金融サービス仲介業」の登録(金融サービス法12条)を受ければ、貸金業の登録を受けなくても、顧客に対し高度に専門的な説明を必要とするものとして政令で定めるものを除き、業として金銭の貸付けを内容とする契約の媒介(同法11条5項)を行うことが可能となる9

なお、従前、住宅ローンの提携ローンにおいては、住宅販売会社は単にローンの「紹介」を行うのみであり「媒介」ではないとして行っていたと思われるが、APIを使用してシームレスに取引を行う場合に「紹介」であると言えるかについては通常、慎重な検討を要する10

(4) 犯収法/AMLの検討

埋め込み型の割賦購入のうちの包括信用購入あっせん(犯収法2条2項39号)、埋め込み型の銀行業や貸金業(同項1号、28号)については、犯収法上の特定事業者として本人確認等を行う必要がある。継続的に一つのショッピングサイトで購入を行ったり、継続的に同一のEnablerを使用する場合にはKYCの手続きもそれほどの手間ではないと考えられるが、ショッピングサイトを一回限りで利用する場合にKYCを行うとする場合、本人確認資料のアップロード等、手間がかかり、ユーザーエクスペリエンスを害する。

そのように考えるとBrand側がメルカリや楽天のように経済圏を作るか、Enablerが自ら経済圏を作るかが必要となる。FinTech業者としては後者のチャンスがどの程度あるか、ということを考えてビジネス展開することになろう。

3 Embedded Investment(埋め込み投資)

(1) 米国でのサービス例

平均的人間にとって、投資はしばしば複雑で手の届かないもののように思える。投資プロセスを簡素化する埋め込み型投資プログラムは、それを変えることを目的としている。一例は Acornsで、購入価額を切り上げて、人々のお釣りを投資するプログラムである。Acornsを使用すると、投資はシームレスでタッチフリーになる。 アプリが自動的な処理を行うため、ユーザーは自分自身の(投資用)アカウントに送金することを覚えておく必要さえない。彼らのポートフォリオは市場の動向に基づいて自動的に調整されるため、Acornsユーザーは株式や投資信託の価値に注意を払う必要もない。

参照:前掲Scott Raspa”6 Examples Of Embedded Finance Changing The Future”

(2) 類似サービスを日本でEnabler/License Holderが導入する場合の日本法の検討

上記のお釣り投資の例とは異なるが、日本においては、金融機関の口座において投資一任業務を提供する4RAPというサービスが誕生している。Enabler/License Holderがプラグイン型SaaSを提供し、Brandである金融機関が管理する口座上で、口座保有者にラップ・ロボアドサービスを提供するというものである。

実際に投資一任業務を行うEnabler/License Holderは、金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に基づいて有価証券又はデリバディブ取引に係る権利に対する投資として、ユーザーの金銭その他の財産の運用を行うもの(金商法2条8項12号ロ)であれば、投資運用業に該当するため(同法28条4項1号)、金融商品取引業者としての登録を受ける必要がある(同法29条)。投資運用業者には、最低資本金規制(同法29条の4第1項4号イ等)、体制整備義務(同法29条の4第1項1号へ)等の規制が適用される。

(3) 類似サービスを日本でBrandが導入する場合の日本法の検討

上記の4RAPの例ではBrandである金融機関は、自社内の口座の顧客に対し投資一任契約の締結の代理又は媒介(同法2条8項13号)をすることになり、投資助言・代理業(同法28条3項)を行うために金商法33条の2に基づく登録をする必要が生じる。このような登録を受けた金融機関を登録金融機関といい(同法2条11項柱書)。登録金融機関には、金融商品取引業者と同様の行為規制(同法36条~40条の5)等が適用される。

なお、銀行、協同組織金融機関その他政令で定める金融機関以外の者(第一種金融商品取引業を行う者及び登録金融機関の役員及び使用人を除く。)の場合には、自身が投資助言業・代理業を取得しないでも、金融商品仲介業の登録を行うことで、投資一任契約の締結の代理を行える(同法2条11項4号、66条)11

また、銀行などの金融機関以外の者に関しては、上記2(3)④に記載した金融サービス仲介業の登録を受けた場合にも、顧客に対し高度に専門的な説明を必要とするものとして政令で定めるものを除き、投資一任契約の締結の媒介が可能となる(金融サービス法11条4項4号)12

4 Embedded Insurance(埋め込み型保険)

(1) 米国でのサービス例

Embedded Insuranceプログラムは、保険契約に加入するプロセスから保険代理店及びブローカーを排除する。伝統的に、車や家を購入する際には保険への加入が必要であった。保険加入は、車や家を購入するプロセスとは完全に別のプロセスであった。物事をスピードアップし、収益を増やすために、企業は、保険契約を申請するアクションを購入プロセスの中に埋め込む方法を発見した。 一例は、自動車メーカーのTeslaである。Teslaは人々がほぼ瞬時に適切な量の補償を購入できるようにする保険プログラムを提供する。テスラから直接加入できる保険は、サードパーティの保険会社の保険よりもコストが低い傾向にある。

参照:前掲Scott Raspa”6 Examples Of Embedded Finance Changing The Future”

(2) 類似サービスを日本でEnabler/License Holderが導入する場合の日本法の検討

日本においては、MS&ADインシュアランスグループホールディングスのグループ会社が、旅行会社や小売りのECサイト向けに、APIを使って保険契約システムを開放する方針を打ち出すなどの動きが出ている。旅行会社やバス・鉄道の予約サイトと連携して国内・海外旅行保険の販売ができ、EC事業者は保険販売で代理店手数料を得られる。13また、インシュアテック企業である株式会社justInCaseが、保険契約の管理、ウェブマーケティング向けのデータ分析、スマホ用アプリの開発等のためのシステムをSaaSとして提供する「Master」の販売を開始している。これにより、保険会社等が「Master」のシステム基盤を活用し、システム構築費用の抑制を図ることができる。14

Enabler/License Holderが保険の取扱いを行うには、内閣総理大臣による保険業免許が必要となるが(保険業法3条1項)、その例外として、保険期間を原則1年とし1被保険者あたりの保険金額の上限を1000万円 (保険業法施行令1条の5、6)とする代わり、規制緩和された少額短期保険業制度(保険業法272条1項)が設けられている。

(3) 類似サービスを日本でBrandが導入する場合の日本法の検討

保険会社からの委託を受けて、保険契約システムをBrandのサイト等にAPI連携し、ユーザーからの保険契約の申込みを受ける等の保険募集(同法2条26項)をBrandが実施する場合、Brandは、特定保険募集人(同法276条)として内閣総理大臣の登録が求められる。

特定保険募集人等が行える「保険募集」の範囲については、保険会社向け総合的な監督指針Ⅱ-4-2-115において、以下の通りと定められている。

特定保険募集人等が行える保険募集の範囲
(i)            保険契約の締結の勧誘、
(ii)           保険契約の締結の勧誘を目的とした保険商品の内容説明、
(iii)         保険契約の申込の受領、
(iv)          その他の保険契約の締結の代理又は媒介※
※    上記(iv)に該当するか否かは、一連の行為の中で、当該行為の位置付けを踏まえたうえで、(a)保険会社又は保険募集人などからの報酬を受け取る場合や、保険会社又は保険募集人と資本関係等を有する場合など、保険会社又は保険募集人が行う募集行為と一体性・連続性を推測させる事情があるか (b)具体的な保険商品の推奨・説明を行うものであるかに照らして、総合的に判断される。

特定保険募集人は、保険契約の内容その他保険契約者等に参考となるべき情報の提供を行わなければならず(同法294条)、また、虚偽告知又は重要事項の不告知の禁止(同法300条)、顧客の意向確認義務 (同法294条の2)などの規制が課される。 なお、上記2(3)④で記載した金融サービス仲介業の登録を受けた場合にも、顧客に対し高度に専門的な説明を必要とするものとして政令で定めるものを除き、保険契約の締結の媒介が可能となる (金融サービス法11条3項)。

(4) 犯収法/AMLの検討

埋め込み型保険を提供する保険会社や少額短期保険業者は、特定事業者(犯収法2条2項17号、19号)として、犯収法上の本人確認等を行う必要があるため、AMLに関する規制等を考慮する必要がある。

5 Embedded Banking(埋め込み型銀行)

(1) 米国でのサービス例

Embedded bankingは、Embedded Financeの単なる別の用語ではない。伝統的な金融機関が提供していた当座預金口座や普通預金口座に代わる銀行サービスを提供している企業が存在している。埋め込み型銀行の例には、Lyftのデビットカードが含まれる。これにより、ドライバーはライドシェア会社から 即座に支払いを受けることができる。ドライバーは、本プログラムを通じて別の普通預金口座を開設することもできる。 Shopifyは、企業向けに同様の埋め込み型銀行のユースケースを提供している。Shopifyの銀行機能の目的は、中小企業のオーナーが個人の当座預金口座や普通預金口座を利用するのではなく、会社用に別の銀行口座を設定することを奨励することである。

参照:前掲Scott Raspa”6 Examples Of Embedded Finance Changing The Future”

(2) 類似サービスを日本でEnabler/License Holderが導入する場合の日本法の検討

日本においては、銀行等の金融機関における預金口座にAPI連携し、Brandのシステム上の操作で預金の入金や出金を実現するビジネスモデルが想定される。

Enabler/License Holderは銀行自体となることが通例と思われるが、銀行以外のFinTech企業としては、銀行やBrandに一種のシステム提供を行う会社となるか、もしくは預金契約の締結の代理・媒介を行うような銀行代理店や金融サービス仲介業として業務を行うことが考えられよう。

なお、金融機関以外のFinTech事業者等が銀行等と同様の口座を設けて直接預り金サービスを行うことは、出資法2条1項により禁止されている。

(3) 類似サービスを日本でBrandが導入する場合の日本法の検討

Brandについても、自らが預金契約の締結の代理・媒介を行うものとして、銀行代理業や金融サービス仲介業として業務を行うことが考えられる。

(4) 犯収法/AMLの検討

犯収法上の特定事業者ではない銀行代理業者や金融サービス仲介業者について、本人確認義務等は生じない。

6 Embedded Card Payments(埋め込みカード決済)

(1) 米国でのサービス例

デビットカードを利用することにより、企業は請負業者や従業員への支払いプロセスを簡素化できる。小切手を渡したり、預金口座に直接入金したりすることの代わりに、企業は自社ブランドのカードに支払いを行うことができる。ホワイトラベルのデビットカードの発行と引き換えに、企業はカード発行会社に交換手数料(interexchange fee)の全部又は一部を支払う。 カードを利用して支払いを合理化する企業の一例はPayPalである。ユーザーは、PayPalアカウントを自身の銀行口座にリンクするオプションがある。また、PayPalキャッシュカードを申請することもでき、これにより、ユーザーはPayPalアカウントの残高に直接アクセスできる。現金が当座預金口座に到着するのを1日か2日待つ代わりに、PayPalキャッシュカードを持っている人は、PayPalカードで支払うか、ATMで使用することですぐに使用できる。

参照:前掲Scott Raspa”6 Examples Of Embedded Finance Changing The Future”

(2) 類似サービスを日本でEnabler/License Holderが導入する場合の日本法の検討

① 会社内の決済に関するカード利用

上記前段類似の仕組みとして、日本でも大企業が給与支払や系列会社向けの支払いを全て自社が発行するカードアカウントで行う、というようなことが考えられる。この場合、仕組みとしてはEnabler/License Holderは銀行業免許を持つ銀行である、ということが通例であろう。

② 資金移動業者によるデビットカードの発行

上記(1)後段と類似のサービスとしては、(Embedded Financeというかは兎も角)日本でも資金移動業者自体がデビットカードを発行するという事例は考えられよう。資金移動業者自体が、自社に送金のために資金を預け、又は預けられた資金をATM等で引き出す、という仕組みを提供することは、銀行業との差異が問題とはなりうるが、送金を100万円以下の範囲で行うとする場合、資金移動業(法改正後の第二種)の範囲で可能だとは思われる。また、このような資金移動業者がEnablerとして他社に自社のデビットカードシステムを提供することも理論上は可能と思われる。

(3) 類似サービスを日本でBrandが導入する場合の日本法の検討

① 会社内の決済に関するカード利用

上記(1)前段類似の企業銀行カードの仕組みについて、Brandである大企業は為替取引を内容とする契約の締結の媒介を行うものとして銀行代理業の許可(銀行法2条14項3号、52条の36第1項)が必要になると思われる。

なお、上記2(3)④で記載した金融サービス仲介業の登録を受けた場合にも、顧客に対し高度に専門的な説明を必要とするものとして政令で定めるものを除き、為替取引を内容とする契約の締結の媒介が可能となる (金融サービス法11条2項)。

② 資金移動業者によるデビットカードの発行

上記(1)後段類似の資金移動業者が提供するデビットカードの提供を受けるBrandは、資金移動業の一部を行う委託先として、資金移動業者の管理・監督を受けながら業務を行うことになると思われる(資金決済法50条、資金移動府令27条)

(4) 犯収法/AMLの検討

犯収法上の特定事業者ではない銀行代理業者について本人確認義務等は生じないが、資金移動業者については、1「1 Embedded Payment(埋め込み型支払い)」(4)②と同様、特定事業者としてAMLに関する規制等を考慮する必要がある。

III 本書で紹介した事例と日本法上の規制の纏め

考えられる仕組み・概要Enabler/License Holderとして検討すべき規制Brandとして検討すべき規制
1 Embedded Payment

アプリを通じて、当該アプリで購入した物やサービスの料金を支払う。仕組みとしては下記

①    Brandがユーザーに代わって預金銀行に送金の指図

②    Brand以外の第三者がユーザーに代わって預金銀行に送金の指図をする

③    Brand以外の第三者による収納代行

①規制なし

②電子決済等代行業【銀行法】

③    規制なし

①、②、③いずれも特に規制なし
Brand以外の第三者がアプリを通じて、送金を行う為替取引に関する銀行業【銀行法】又は資金移動業【資金決済法】

資金移動業の委託先【資金決済法】

2 Embedded Lending

物を買った時に代金を割賦で支払う。仕組みとして下記

①    自社割賦 – 販売業者が割賦で販売(2か月以上かつ3回以上又はリボルビング)

②    信用購入あっせん – 第三者が販売業者に対してユーザーの債務を立替払い(2か月以上又はリボルビング)

③    ローン提携販売 – 第三者(銀行や貸金業者)がユーザーにローンを提供(2か月以上かつ3回以上又はリボルビング)、販売業者が連帯保証

④    提携ローン – 第三者(銀行や貸金業者)がユーザーにローンを提供、販売業者の保証なし

①    自社割賦【割賦販売法】。なお、単なるシステム提供となる場合は規制なし

②    信用購入あっせん業、なお10万円未満の場合には少額包括信用購入あっせん業【割賦販売法】

③    ローン提携販売【割賦販売法】。ローン媒介につき下記④と同様の規制

④    銀行業【銀行法】、貸金業【貸金業法】

①    自社割賦【割賦販売法】

②    特に規制なし

③、④はローンの媒介となり、銀行代理業【銀行法】、貸金業【貸金業法】、又は金融サービス仲介業【金融サービス法】

3 Embedded Investment
アプリを通じて証券へ投資する(資産の運用管理サービスを受ける)

投資運用業【金商法】

Brandが金融機関である場合は投資助言・代理業を行う登録金融機関【金商法】、金融商品仲介業不可、金融サービス仲介業不可
Brandが金融機関以外である場合は、投資助言・代理業や金融商品仲介業【金商法】、又は金融サービス仲介業【金融サービス法】

4 Embedded Insurance
物の購入等の際にアプリを通じて保険に加入

保険業、少額等の場合少額短期保険業【保険業法】

保険会社からの委託を受けて保険契約の代理や媒介を行う場合は特定保険募集人【保険業法】、又は金融サービス仲介業【金融サービス法】
5 Embedded Banking

物の購入等の際にアプリを通じて預金の入出金を行う

銀行業、銀行代理業【銀行法】や預り金の規制【出資法】又は金融サービス仲介業【金融サービス法】

銀行代理業【銀行法】、又は金融サービス仲介業【金融サービス法】
6 Embedded Card Payments
大企業が銀行口座にリンクしたデビットカードを発行

銀行業【銀行法】

銀行代理業【銀行法】、又は金融サービス仲介業【金融サービス法】
資金移動業者がデビットカードを発行資金移動業【資金決済法】

資金移動業の委託先【資金決済法】

※上記の表は概要を示したものであり、詳細は本文IIをご参照下さい。

留保事項

本稿の内容は関係当局の確認を経たものではなく、法令上、合理的に考えられる議論を記載したものにすぎません。

事例は各種Blogや公表資料を分析したものであり、事実関係により結論は異なりえます。また、当職らの現状の考えに過ぎず、当職らの考えにも変更がありえます。

本稿は、Embedded Financeの利用を推奨するものではありません。

本稿は議論用に纏めたものに過ぎません。具体的案件の法律アドバイスが必要な場合には各人の弁護士等にご相談下さい。

以 上


脚注

  1. 同Blogで紹介された事例を翻訳の上、順番等を変更、日本人には分かりにくいと思われる部分を適宜修正している。詳細は原文を参照されたい。
  2. なお、物品の販売やサービスの提供を行うBrandについては元来のAmazonのように自社で物品を販売する事例と、楽天市場のように他ショップが物品を販売するサービスの両者があるが、本稿では前者を念頭に置いて検討する
  3. 「預金者による商品の売買契約又は役務の提供に係る契約の相手方に対するこれらの契約に係る債務の履行のみを目的として、当該相手方又は当該契約の締結の媒介(当該履行に係る為替取引を行うことの指図(当該指図の内容のみを含む。)の伝達により行う媒介を除く。)を業とする者(以下この号において「相手方等」という。)が当該契約に基づく取引に付随して行う行為であって、当該行為に先立って、法第2条第17項第1号の銀行と当該相手方等との間で当該履行に用いる方法に係る契約を締結しているもの」
  4. 金融審議会「決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループ報告」(2019年12月20日)では、収入代行サービスについて、「代金引換を含め、①金銭債権を有する債権者から委託又は債権譲渡を受けて債務者から資金を収受し、②当該資金を直接輸送することなく債権者に移転させる行為を典型的な収納代行」であるとし、「収納代行のうち、①債権者が事業者や国・地方公共団体であり、かつ、②債務者が収納代行業者に支払いをした時点で債務の弁済が終了し、債務者に二重支払の危険がないことが契約上明らかである場合には、既に一定の利用者保護は図られていると考えることが可能である。したがって、こうした収納代行について、為替取引に関する規制を適用する必要性は、必ずしも高くないと考えられる。」としている。もっとも、2020年6月に成立した改正資金決済法では、個人間の収納代行のうち資金移転業者に関する内閣府令で定める要件を満たすもの(例えば割り勘アプリなど)については為替取引の対象として規制を及ぼす(改正資金決済法2条の2)。
  5. 外部委託できる為替取引業務としては、業務の全部は委託できないが一部であれば「金銭の受払い(ガイドラインⅠ-2-3-3-1④)」も含まれるなど特に制限がなく(堀天子著「実務解説資金決済法第4版」151頁)、委託先の選定も制限がないと考えられる(2010年パブコメNo.74 https://www.fsa.go.jp/news/21/kinyu/20100223-1/00.pdf)。
  6. ユーザーが商品サービスの提供を受ける契約を事業者と結んだ時から2ヵ月以内に、与信を行った事業者との清算が完了する取引。
  7. 少額包括信用購入あっせん業者は、経済産業省に登録を要するが(改正割販法35条の2の2)、その際の純資産要件が緩和され(同法35条の2の11第1項3号)、資本要件(現行登録時最低2000万円)が撤廃される。また、与信管理等や社内体制も簡易なものとすることが認められる(同法35条の2の4、35条の2の11第1項11号)。
  8. 池本誠司「割賦販売法とはどのような法律か」http://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-201803_11.pdfは、「ローン提携販売は、販売業者が借入金債務を連帯保証する点で、消費者に対する代金回収リスクを販売業者が負担するしくみですので、販売業者にとっては経済的なメリットが低いため、現在ではローン提携販売は利用高がごくわずかであり」とする。
  9. 「金融サービス仲介業」の登録により、保証金の供託義務(金融サービス法22条)、健全かつ適切な運営を確保するための措置(同法26条)等の規制の下、「預金等媒介業務(同法11条2項)」、「保険媒介業務(同3項)」、「有価証券等仲介業務(同4項)」 、「貸金業貸付媒介業務(同5項)」のサービスをワンストップで提供することが可能となる。但し、顧客に対し高度に専門的な説明を必要とするものとして政令で定める金融サービスについては、金融サービス仲介業で取り扱うことができず(同法11条2項~5項参照)、また、仲介業として行えるのは「媒介」であって「代理」を行うことはできない。
  10. 例えば金融庁は、貸金業に関する法令照会に対し「金銭の貸借に関して以下の①から③の各行為の事務処理の一部のみを行うに過ぎない場合は、金銭の貸借の媒介に至らない行為といえる場合もある。 ① 商品案内チラシ・パンフレット・契約申込書等(以下「契約申込書等」とい う。)の単なる配布・交付、② 契約申込書及びその添付書類等の受領・回収 ③ 住宅ローン等の説明会における一般的な住宅ローン商品の仕組み・活用法等についての説明」としている。https://www.fsa.go.jp/common/noact/ippankaitou/kashikin/01b.pdf
    Brandのアプリ上でAPIを利用してシームレスに貸付を行えるという行為はまさに今般導入された金融商品仲介業が目指す世界であり、もちろん具体的な事実関係にはよるものの、媒介ではなく紹介に過ぎない、と言うことは一般的には難しいようには思える。
  11. なお、金商法66条が金融機関以外の者のみに金融商品仲介業の登録を認めているため、金融機関は金融商品仲介業不可。
  12. 金融機関が金融サービス仲介業を行えるか否かは各業務ごとに見る必要があるが、銀行その他の今後政令で定められる者については金融サービス仲介業にかかる有価証券等仲介業務を行えないとされている(金融サービス法第15条第6号、政令案未公表)。
  13. 2021年1月18日付日本経済新聞「保険販売 旅行サイトで MS&ADがシステム連携」https://www.nikkei.com/article/DGXZQODF258BF0V21C20A2000000
  14. 2021年1月18日付日本経済新聞「保険システム提供 ジャストインケース、東京海上などに」
    https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGC2018F0Q1A120C2000000
  15. 「保険会社向け総合的な監督指針Ⅱ-4-2-1」https://www.fsa.go.jp/common/law/guide/ins/02d.html