Monthly Archives: 2016年6月

I 規制関係

QuestionAnswer
開発・トレーディング・採掘
1仮想通貨関係のソフトウェアの開発を行っています。今回の法律で何か規制が入りますかソフトウェア開発のみでは入りません
2個人としてトレードを行っています。今回の法律で何か規制が入りますか通常、入りません。例えば登録取引所相手にユーザーとしてトレードを行なっている場合、それは通常は「業」として行っているものではない整理と思われます
3友人に仮想通貨を原価(ないしその時
点の時価)で分け与えました。規制され
ますか
通常の場合には「業」として行っていると見られず規制対象外と思われます。
但し、いわゆるネットワーキングビジネスなどで販売していく場合、「業」として行っていると見られることが通例と思われます
4仮想通貨を採掘しています。規制されますかされません
5仮想通貨を自分の商店で受け入れたいです。規制されますかされません
6仮想通貨を使用したいです。規制されますかされません
発行、独自コイン、ICO
1今回の規制で仮想通貨の「発行者」には規制が入りますか規制されません
なお仮想通貨の典型例であるビットコインには「発行者」は存在しません
今回の規制では「発行者」が存在する仮想通貨も仮想通貨の定義に含めていますが、そのような仮想通貨でも「発行」自体は規制されません。
2独自コインを発行していますが規制されますが上述のとおり仮想通貨の「発行」自体については改正法では規制されません
但し、独自コインの中には資金決済法上の「前払式支払手段」に該当するものもあり、その場合には、別途の規制が課されます
→ IOU を発行する場合には特にご留意下さい
3独自コインを販売していますが規制されますか独自コインが「仮想通貨」の定義に該当する場合、当該コインを業として販売するためには「登録」が必要となります
各コインが「仮想通貨」の定義に当たるか否かについては慎重な判断が必要です
4仮想通貨の ICO は規制されますか仮想通貨と現金の交換、又は仮想通貨同士の交換を業として行っていると見られ、通常規制されると思われます
詐欺的コインと規制
1今回の規制でいわゆる詐欺的コインは規制されますか「仮想通貨」の定義に該当する場合、当該コインを業として販売するには「登録」が必要となります。登録なくして販売した場合には違法になります
2詐欺的コインの販売業者でも登録できますか。登録によって詐欺的コインは絶滅すると考えて良いでしょうか今回の法律は官公庁がどのコインが適法でありどのコインが詐欺であるか等を判断するための法律ではありません。そのような審査も困難でありまた望ましくないように思われます
従って、法令の要件を満たす限り販売業者は登録を受けることが出来るように見えます
とはいえ、法令では体制整備や説明義務等を求めており、現実的には登録には相応のハードルがあります
登録審査が厳しければ詐欺的コインは通りにくいが健全コインも通りにくいという関係にもなりますので、これらの点は今後の状況を見守る必要があると考えています

II 規制関係(金融ビジネス関係)

QuestionAnswer
金融機関と仮想通貨ビジネス
1銀行が仮想通貨の取引所その他の業務を営めますか可能性はあります
銀行は銀行法に記載されている業務の他に、本業に近いと認められる業務を営むことができます。このような業務として認められれば営むことが出来ますが、当局との調整が必要となります。
2証券会社が仮想通貨の取引所を営めますか可能性はあります
証券会社は金商法に記載されている業務の他に一定の業務を承認業務として営めます。承認業務として営むためには当局との調整が必要となります。
なお、一般論としては証券会社が仮想通貨業務を営むほうが、銀行が同業務を行うより承認が得やすいのではと考えています。
仮想通貨ファンド
1仮想通貨で募集するファンドを組成したいのですが、金商法の規制に服しますか金商法のファンド規制は「金銭その他一定の類似物」で募集する場合に適用されますので、仮想通貨で募集する場合には適用されません
但し、実質的に金銭で募集している等と見られることのないようご留意下さい

III 税務

QuestionAnswer
取引利益と税務
1個人でビットコインの現物及び FX のトレードを行っています。税務について教えて下さい税務は専門外ですが、現物取引・FX 取引とも雑所得として課税されるものと理解しています。会社勤めの場合には 20 万円以上だと確定申告が必要。個人事業主等の場合には 1 円の儲けでも確定申告が必要と理解しています
2法人でビットコインの現物及び FX のトレードを行っています。税務について教えて下さい税務は専門外ですが、現物取引・FX 取引とも通常の利益として課税されるものと理解しています。
消費税
1今回の法律の成立・施行でビットコイン売買の消費税が非課税になりますかなりません
今回の法律は消費税については触れておりません
2今後、ビットコインの売買が消費税非課税になる可能性はありますか業界団体等から消費税非課税の要望は継続的に提出しています。国会での質疑でも消費税非課税化に関するご質問をして頂いています
但し、仮に非課税化がなされるとしても通常の税制改正の手続きによるものと思われ、一定の時間がかかります
3海外からビットコインを購入する場合の消費税について教えて下さい海外の取引所から購入する場合には消費税は非課税となります。
この点は公平性の問題もありますが、必ずしもユーザーにとって有利という訳ではなく、トレーダーの場合には、海外取引所から購入した場合には「仕入税額控除」が出来ないために「追徴課税」を受けるリスクがある点で留意が必要と言われています。

IV 会計

QuestionAnswer
会計処理
1ビットコインの会計処理について教えて下さい専門外なので判りません、すみません・・・。
判れば追記します。
なお、現在、公認会計士協会の専門部会で議論がなされていると理解しています。

留保事項

本書の記載は法律の文案及び関係当局と議論したところを踏まえた筆者の現時点での個人的な理解ですが、更に今後の政令・府令、パブリックコメント等を踏まえて検討する必要があります。また、具体的な事案に際しては、各自の弁護士、税理士、会計士等にご相談して下さいい。

旧聞に属しますが米国バーモント州でブロックチェーンに証拠能力を認める法律案が成立まじか、という報道があります。

「ブロックチェーン『証拠能力あり』と認める法律が可決間際に=米バーモント州」
Vermont is Close to Passing a Law That Would Make Blockchain Records Admissible in Court (http://btcnews.jp/vermont-approve-blockchain-as-admissible/)

上記についてどういうものなのかを何人かに聞かれ、かつ個人的にも興味があったのでこういうものではないかというものを書いておきます。

[前提知識]

  1. アメリカでは日本と違って陪審制であることもあり、法廷に証拠として提出できるものが非常に細かく証拠法のルールで決まっています。
  2. 証拠法は連邦や各州レベルで異なります。ただ、例えば Extrinsic Evidence(外因性の証拠)については Authenticity(真偽)を明らかにしてからではないと提出できません。連邦証拠法では知識ある証人によってそれが Authentic であることを証明しろ等とあるようです。
  3. これに対して日本では少なくとも民事訴訟では証拠は何でも提出できます。証拠としては提出できるが偽造である/信頼できない等は提出した後に争うということになります。

[今回の Bill の内容]

  1. ブロックチェーンの定義として、a mathematically secured, chronological, and decentralized consensus ledger or database, whether maintained via Internet interaction, peer-to-peer network, or otherwise と定義
(仮約) インターネットの相互作用、ピア・ツー・ピアネットワークまたは他の方法により維持される、数学的に保護され、時系列に従い、かつ分散型であるコンセンサスレッジャーまたはデータベース
  1. 以下の「推定」を行う。
    ① 有効なブロックチェーン技術の適用により検証された事実又は記録は真正 (authentic)である
    ② 当該ブロックチェーン上の事実や記録に付された日時については当該事実又は記録がブロックチェーンに加えられた日時である
    ③ 当該記録を作成した者とブロックチェーンに記録された者は、当該記録の作成者である
  2. 「推定」は事実や記録の「内容」の真実性、有効性、法的性質には及ばない
  3. 上記2の推定を打ち破るための証拠を提出する負担は、当該推定に反対する者が負う
  4. 本章で適用される「推定」は以下のような点にも及ぶがこれらに限られない
    ① 契約者、契約条項、契約の締結、契約締結日、状態
    ② 金銭、動産、契約、証書及び他の法的権利及び義務の、所有権、譲渡(assignment negotiation)、移転
    ③ 如何なる者についての本人性、参加、組織の状況、マネージメント、記録の保存、ガバナンス
    ④ 私的取引又は政府との取引についての本人性、参加、相互作用の状況、参加
    ⑤ 公的なものであれ私的なものであれ、記録の完全性
    ⑥ コミュニケーションについての記録の完全性
  5. 本章の規定は、以下のようなものを作成又は否定するものではない
    ① 本章に規定する如何なる目的のためにせよ、ブロックチェーン技術を使用する義務
    ② その実行や情報がブロックチェーン技術を使用して認証されている特定の活動についての法的有効性や官公庁による許認可

[感想]

  1. 証拠法的には、日本だと民事訴訟ですと証拠としては何でも提出できますので、今回のような条文は必要ありません。その意味では米国特有であるとは思います。
  2. しかしながら、本案ではブロックチェーンの定義がされ、また、どのような推定が及ぶかが詳細に規定されており、かつスマートコントラクトや権利の移転などについても目配せされており、非常に先進的な法案だと思います。もしこれが通れば世界でも一番早くブロックチェーンについて触れた法律になるのかもしれません。
  3. 日本でも刑事事件でブロックチェーンを証拠として使用したい場合(があるかはともかく)、少し考える必要があります。
  4. 本法案はあくまで証拠法のルールですが、日本でも契約、権利の移転(債権、不動産、動産、仮想通貨)、公的認証、私的認証(本人確認)、その他にブロックチェーンを利用した場合、または利用したい場合に法的に考えなければならない点は多数あります。
    ブロックチェーンは実証実験段階のものが多いですが、今後の実証実験の際には、その内容によってはこれらの点も考えていかないといけません。

ブロックチェーン上のスマートコントラクトを利用してファンドを設定する等の事案を聞きます。

そのようなファンドが金融商品取引法上の登録を経ずに販売される場合、金商法違反となる可能性があります。

I 検討対象スキームの概要

本メモで検討の対象とするスキームは以下のスキームとします。

検討対象スキーム
① 新しく設定される Coin を不特定多数の人間に対して金銭で販売
② 当該販売によって得られた金銭を不動産の購入や、企業への投資、金地金への投資などにあてる
③ かかる投資から得られた収益を Coin の保有者に分配する
④ このようなスキームがブロックチェーン上のスマートコントラクトに記述され、自律的に執行される

II 金商法上のファンド規制

1. ファンド規制の一般的説明

日本国内で所謂ファンド(集団投資スキーム)の募集又は私募を行う場合、原則として第二種金融商品取引業の登録が必要となります(金商法 2 条 8 項 7 号ヘ、28 条 2 項 1 号)

また、ファンドから募集を受けた資金をもって主として有価証券やデリバティブに対して投資を行う場合にも、投資運用業の登録も必要となります(金商法 2 条 8 項 15 号ハ、28条 4 項 3 号)。

例外として例えば、金商法 63 条で適格機関特例業務という特例が認められ、適格機関投資家+49 名以下の非適格機関投資家にしか販売しない場合には「届出」ですみます。しかしながらこの特例が悪用されたこともあり、平成 28 年3月1日以降は一般個人の出資が禁止されるなど、規制が厳格化されています。

http://www.fsa.go.jp/ordinary/tekikaku_kyouka/

金商法で規制対象となるファンドは以下のものとなります。

日本法によるファンド
(1) 以下の権利その他の権利(外国の法令に基づくものを除く。)のうち
① 民法第 667 条第 1 項 に規定する組合契約
② 商法第 535 条に規定する匿名組合契約
③ 投資事業有限責任組合契約に関する法律第 3 条第 1 項に規定する投資事業有限責任組合契約
④ 有限責任事業組合契約に関する法律第 3 条第 1 項に規定する有限責任事業組合契約に基づく権利
⑤ 社団法人の社員権

(2) 当該権利を有する者(「出資者」)が出資又は拠出をした金銭(これに類するものとして政令で定めるものを含む。)を充てて行う事業(「出資対象事業」)から生ずる収益の配当又は当該出資対象事業に係る財産の分配を受けることができる権利であり

(3) 次のいずれにも該当しないもの
イ 出資者の全員が出資対象事業に関与する場合として政令で定める場合における当該出資者の権利
ロ 出資者がその出資又は拠出の額を超えて収益の配当又は出資対象事業に係る財産の分配を受けることがないことを内容とする当該出資者の権利
ハ 保険業法上の保険契約など
ニ 上記のほか当該権利を有価証券とみなさなくても公益又は出資者の保護のため支障を生ずることがないと認められるものとして政令で定める権利

外国法によるファンド
(4) 外国の法令に基づく権利であって、上記の権利に類するもの

2. ファンド規制とブロックチェーン上のファンド

検討対象スキームのように「スマートコントラクト」を用いた場合、ファンド規制が適用されないか。

→ そのような解釈は極めて困難だと思われます。

考え方としてはスマートコントラクトの場合には上記(1)に該当しないという主張が考えられますが、かかる主張は極めて困難だと思います。そもそも、民法上の組合契約は「組合契約は各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって、その効力を生ずる。」と定義され、商法上の匿名組合契約は「匿名組合契約は、当事者の一方が相手方の営業のために出資をし、その営業から生ずる利益を分配することを約することによって、その効力を生ずる。」と定義されています。いずれも当事者がスキームが組合契約である、匿名組合契約である等と述べなくても、成立が認められるようになっており、スマートコントラクトで記載をしたとしても、当該約束はこのいずれかに該当するとされる可能性が考えられます。

更に仮に組合契約や匿名組合契約に該当しなくても、上記(1)については「その他の権利」という包括規定があり、集団投資スキーム持分に該当するかどうかについては法形式の如何は問わない、①~⑤は集団投資スキームのビークルとして用いられるものを例示的に列挙するものに過ぎないとされています。

従って、日本法上の権利が何らかの形で存在すればスマートコントラクト上の権利であっても上記(1)は満たします。

さらに外国法に基づき組成したとしても類する権利として 6 号ファンドに該当します。どこの国の法律にも関係ない、インターネット世界上の権利に過ぎない、などの主張も困難と思われます。

以上により仮にスマートコントラクトで契約をしていても、例えば①全員が事業に関与する場合や、②出資額を超えて配当や元本償還が行われない場合、③そもそも収益分配の権利がない場合以外には金商法上のファンドに該当し、④63 条特例等を使わない限り、募集には第二種金融商品取引業者の登録等が必要となります。

3. ビットコイン等で出資を受ける場合には規制が非適用

金商法上のファンド規制は、出資者が金銭(又は類似するものとして政令で定めるもの)を拠出する場合を規制しています。類似するものとしては有価証券、為替手形、約束手形などが上げられています。

ビットコインや Ether は現行法上はこれらのいずれにも該当せず、従ってビットコインや Ether で資金の拠出を受ければ、現行法上はファンド規制の対象とはなりません。

但し、同一主体や関連主体がファンド出資のためにビットコインを販売し、当該ビットコインでファンドへの拠出を受ける等の場合、実質的に金銭の出資を受けているとして規制が適用される場合は考えられます。

III 不動産特定共同事業法

上記のほか投資対象が現物不動産である場合には不動産特定共同事業法を検討する必要があるなど、投資先によっては別途の法律の検討が必要となります。

例えば、不動産特定共同事業法上の不動産特定共同事業契約は以下のように定義されており、かかる業務を営むには許可が必要です。

不動産特定共同事業法
2 条
3 この法律において「不動産特定共同事業契約」とは、次に掲げる契約(予約を含む。)であって、契約(予約を含む。)の締結の態様、当事者の関係等を勘案して収益又は利益の分配を受ける者の保護が確保されていると認められる契約(予約を含む。)として政令で定めるものを除いたものをいう。

一 各当事者が、出資を行い、その出資による共同の事業として、そのうちの一人又は数人の者にその業務の執行を委任して不動産取引を営み、当該不動産取引から生ずる収益の分配を行うことを約する契約

二 当事者の一方が相手方の行う不動産取引のため出資を行い、相手方がその出資された財産により不動産取引を営み、当該不動産取引から生ずる利益の分配を行うことを約する契約

三 当事者の一方が相手方の行う不動産取引のため自らの共有に属する不動産の賃貸をし、又はその賃貸の委任をし、相手方が当該不動産により不動産取引を営み、当該不動産取引から生ずる収益の分配を行うことを約する契約

四 外国の法令に基づく契約であって、前三号に掲げるものに相当するもの

五 前各号に掲げるもののほか、不動産取引から生ずる収益又は利益の分配を行うことを約する契約(外国の法令に基づく契約を含む。)であって、当該不動産取引に係る事業の公正及び当該不動産取引から生ずる収益又は利益の分配を受ける者の保護を確保することが必要なものとして政令で定めるもの

検討対象スキームで現物不動産への投資を行う場合、不動産特定共同事業法の適用対象となる可能性が高いと思われます。

なお、金商法とは異なり「金銭」での出資に限定されておらず、ビットコイン等で出資を受けた場合も該当する可能性があります。

IV 仮想通貨であるから規制は適用ない?

自民党 IT 戦略匿名委員会資金決済小委員会は 2014 年 6 月 19 日に「ビットコインをはじめとする「価値記録」への対応に関する【中間報告】(案)」を公表し、「「価値記録」のような新しい概念に対し、既存法は適用外とする。また、現在の僅少な流通量、自己責任の原則の徹底を考慮すると、現時点での立法は行わない」としています。

かかる記述をもって、仮想通貨やブロックチェーンであれば規制されない等と述べるものがいると聞いていますが、そのような解釈は成り立ちません。

上記 IT 戦略匿名委員会の記述は、あくまで出資法上の預かり金規制や銀行法の為替取引規制、犯罪収益移転防止法上の規制に関する当該時点の解釈を示したものに過ぎません。

それ以外の他の法律について解釈を示したものではなく、例えば、(i)ビットコインで賭博をした場合に賭博罪の適用がない、(ii)ビットコインを詐取した場合に詐欺罪の適用がない、等としたものではないのと同様、(iii)ブロックチェーン技術を用いてファンドを組成した場合に金商法の規制が適用ない、等としたものではありません。

V 法令違反とされた場合の投資家への影響

法令違反とされた場合には刑事罰が課されたり業務停止命令等が発出され、想定されるスキームが途中で終了する等し、元本等も帰ってこないリスクがあります。

また一般に法令違反を行う投資スキームはコンプライアンスに対する意識が希薄であり、他の法律や税法、会計等の検討も不十分なことが多く、想定外のリスクを被る可能性が高いと考えられます。

投資をご検討の方は法令違反スキームにはそのようなリスクがあることを前提に、法令違反がないか検討の上、投資を検討されることをお勧めいたします。

The DAO について(6 月 17 日追記)

現在、非常に注目を集めている the DAO について日本で販売する場合に日本の金商法の規制が適用されるのかを良く質問を受けます。the DAO の仕組みは極めて複雑でありスキーム全体について検討した訳ではありませんが、Ether を指定アドレスに送付することにより the DAO のトークンが返送されると聞いています。その場合、Ether は金銭(又は類似するものとして政令で定めるもの)には該当しませんので、本文で述べる例外的な場合を除き、少なくとも現行法上はファンド規制の対象外と解釈せざるを得ないのではないかと思われます。

但し、米国や UK はじめ諸外国では規制対象である可能性はあり、また本邦でもファンド規制以外の規制が適用されないかについては未検討です。

なお、今後は仮想通貨のような支払手段も「金銭」と類似するものとして上記政令に追加指定すべきではないかとも思われます

留保事項
本記載は斎藤の私的な見解に過ぎず、斎藤が関与する団体等の意見ではありません。

また、弁護士として法的アドバイスをするものではなく、具体的なアドバイスは各人の弁護士等の専門家にお聞き下さい。

斎藤は具体的なスキームが法令上の届出をしているか等は確認していません。また具体的な商品の具体的な中身の詳細も検討していません。

斎藤は違法商品への投資は極めてリスキーであると考えますが、仮に金商法上の届出等がなされている場合であっても金融商品への投資はリスクがあり、届出をしているから安全である等と述べるものではありません。