ステーキングに関する法的論点の整理

2020.03.17

ステーキングに関して検討すべき法的論点は、トークンの概要、行おうとするビジネスにより異なりうる。

本稿では、下記Ⅰで結論の纏め、下記Ⅱで主要な POS トークンの概要を紹介、Ⅲで法的論点を整理し、Ⅳで税務について参考までに記載する。

Ⅰ 法的整理の結論の纏め

1.自己保有 POS コインで自分でステーキングすること法律上の問題はない

2.業者が第三者(ユーザー)のためにステーキングをすること
2-1.業者がユーザーからデリゲートを受けるのみで秘密鍵を預からない場合
金融規制はない

2-2.業者が秘密鍵を預かる場合
法律構成が、預託、出資、貸付なのかで規制が異なる。
① 預託:カストディーとして暗号資産交換業
② 出資:ファンド規制(二種金融商品取引業)
③ 貸付:金融規制なし

カストディー、ファンド、貸付のいずれかは、契約上の構成と実質を踏まえて検討。
例えば下記のようになると思われる。

(1) 業者からユーザーへのリワードの支払額が予め決まっており、スラッシングリスクをユーザーが負担しない場合 → カストディー
(2) 業者からユーザーへのリワード支払額が業者が獲得するステーキング報酬と連動、スラッシングリスクの一部をユーザーが負担 → ファンド
(3) 暗号資産の貸付契約として契約し、実態としても要求払い等でなく、貸付と見られる場合 → 規制なし

3.既に存在する暗号資産交換業者が預託コインを用いてステーキング業務を行う場合
(1) カストディー業務として行う場合、既に登録があるので可能
(2) ファンドの場合、別途、二種金融商品取引業の登録が必要
(3) なお、カストディーの場合、コールドウォレット規制などに留意する必要性

Ⅱ ステーキングの仕組み・分類

1. Proof of Stake とは

Proof of Stake(POS、ステーキング)とは、コインについて一定の関与(ステーク)をしている者にブロックチェーンの認証を行わせるもの

Proof of Work(POW)と異なりコンピューターが膨大な計算をすることなく認証ができるのがメリットとされる

2. 各コインとステーキング

(1) TEZOS

ステーキング相当の行為を Tezos ではベイキング(=パンを焼く)と呼ぶ

ベイキング

  • トークンの総量にもよるが、ベイキングを行うことで、現在は年間 5.5%以上の報酬。
  • ベイキングによって報酬を得るには、①最小 8,000TZ のトークン、②認証作業を行う専用のコンピューター、そして③安定した通信環境と停電などのすべてのトラブルの対策を立てる必要性。
  • Tezos では罰則があり、対策しないと保証金としてトークンがシステムに没収されてしまう可能性がある。但し、罰則は、ダブルベーキングやダブルエンドースメントという複数のノードをバックアップとして冗長的に動かして、システムの不整合などで同時に動いてしまい二重に署名する事になった場合に限定的におき、それ以外のケースでは単純に報酬獲得権利を逃すのみとのこと。

デリゲート

  • 自身でのベイキングのハードルが高い場合、Tezos には、だれでも簡単にベイキングに参加できるデリゲートという仕組みがある。
  • デリゲートとは、ベイキングの権利をデリゲートサービスに委任すること。自身のテゾストークンではなく、ベイキングを行う権利のみを委任することになる。
  • デリゲートを受けるベイカーの運用としては、現状自身の保証金の 10 倍まで委託を受ける事ができ、委託分を含めた分までで権利獲得の確率が向上し、一度ベイカーに増加分の入金があった上でユーザーに送金して返す。
  • 通常、デリゲートサービスは、代わりに正しくベイキングを行う義務を負うが、正しく行わなかった場合にはデリゲートサービス側のみが罰せられ、デリゲートをした側には影響が及ばない。
  • デリゲートサービスに委任するには、自身の公開鍵ハッシュのみが必要であり、秘密鍵などのウォレットから出金するための情報を与える必要がないため、自身のウォレットの安全性を保ちながら委任先からの配当を受け取ることができる。

  https://stir.network/tezos/及び Tezos Japan からの情報参照

(2) ETH2.0

  • 32ETH をデポジットすることで Validator になれる。
  • 多くデポジットしても意味はない。64ETH あれば 2 つの Validator、96ETH で 3 つの Validator
  • Validator が複数集まった Shard が多数(1024)ある。発生したトランザクションは分割して各 Shard にて処理され、各 Shard 毎に自己に割り当てられたトランザクションのみを認証すること(並列処理)により、Ethereum のスケーラビリティー問題を解決(Sharding)
  • Validator には報酬
  • Validator は必ず Online であることが求められる。もしダウンした場合にはペナルティー。1 日ごとに貰う筈だったパーセンテージ分だけマイナスされていく。また、一つの Shard のなかで 33%以上がオフラインになっている(=ブロックが生成できない)状況下でオフラインになった場合、最大 18日間で 60%もの ETH が罰金として没収される恐れがある。罰金=Slashing
  • 16ETH 以下になった場合 Validator の資格はなくなり強制退場となる。
  • コードリスクとハッキングリスクがある?

  https://lab.stir.network/2019/04/22/ethereum2-serenity-overview-and-roadmap/ 参照

(3) COSMOS

  • Cosmos は現在 Validator を残高トップ 100 台に制限(今後様子を見て引き上げる予定あり)
  • ノード数を制限する代わりに、残高を 100 台の Validator のノードに委任(デリゲート)することができる。Validator は各々が定めた手数料を引いて、報酬を受け取ることができる。=ステーキングプールと呼ばれる仕組み。
  • Cosmos Network にはすでに報酬の分配機能がついている。ユーザーが報酬を受け取るというトランザクションを送ったら自動的に報酬が計算され受け取れる。ユーザーは任意のタイミングで報酬を受け取れ、かつ Validator 側が報酬を横取りすることもできない。Validator 側としても送金の手間が省ける。
  • Validator のハードル
    • サーバーの冗長化(ハッキングなどされてはいけない。また、Validate できるサーバーが同時に立ち上がって二重署名などが起きる等はだめ)
    • 鍵の保守(オンプレ=自社内で Ledger Nano S などを使っていると望ましい)
    • アップデート内容を随時追う(たまに緊急 HF などが入る。また 3 ヶ月に一度くらい HF が入る)
    • 一定期間以上オフラインになってしまったり、はたまた二重署名(同じブロック No のものに二重にサインしてしまうこと。フォーク)を行ってしまうと、罰則。 一定期間以上オフラインになってしまったものには 0.01%、二重署名を行ってしまったものには 5%の罰金が発生。これはValidator も、その Validator に委任している方も同様

  https://coinpost.jp/?post_type=column&p=113117 参照

(4) LISK

  • DPoS を採用
  • 通貨保有者自身がブロックの承認者になるのではなく、通貨保有者の代わりに、ネットワークを維持するデリゲートに対して投票を行うボーティングの制度
  • ボーティングの投票の結果、選出された人達をデリゲートと呼び、投票数の上位 101 名がアクティブデリゲートと呼ばれブロック生成を行うことができる
  • ブロック生成を行うことを Lisk ではフォージング(鋳造)と呼び、新規発行された LSK が報酬(フォージング報酬)としてデリゲートへ支払われる。デリゲートは受け取った報酬を契約等に従い、自身へ投票してくれた投票者へ還元(Vote 報酬)
  • PC 版の公式ウォレットから投票を行うことができ、手数料が 1LSK(1LSK につき 33 人まで投票可能、最大 101 人まで)
  • 2020 年 1 月 9 日に Coincheck 社が LSK についてステーキングのβ版実施を発表。ユーザーからの預かり資産を利用し Lisk デリゲートへの投票を実施、vote 報酬を得て、当該報酬を LSK を保有するユーザーの保有量に応じて付与
  • ステーキング報酬の付与は Coincheck の取引アカウントで 1 日あたり平均 10LSK 以上保有、もしくは貸仮想通貨アカウントで貸出中ではない LSK を 10LSK 以上保有しているユーザーが対象

  Lisk Japan による Coinpost への寄稿 https://coinpost.jp/?p=126507
  Coinchek 社発表 https://corporate.coincheck.com/2020/01/09/85.html 参照

3. 法規制検討のための分類

ステーキングの法規制といっても、各コインのステーキングの仕組みや Validator の仕組みなどによって考えられる問題点は異なる。例えば以下のような事実を整理する必要

① 秘密鍵をユーザー自身が管理しているか(秘密鍵を渡すことなくステーキングをデリゲートすることができるか)/業者が管理をしているか
② リワード(報酬)を業者が受け取った後にユーザーに分配されるか/ユーザーに直接分配されるか
③ リワードを業者が受け取った後に分配される場合、リワードの分配は固定分配か収益連動か
④ Slashing などの罰金が有る場合の負担は業者かユーザーか?

Ⅲ 法的論点の検討

1. ユーザーの自己保有 POS コインの自身によるステーキング

ユーザー自身が保有している POS コインにつき、自分がステーキングしてリワードを得ること
→ 問題は思いつかない

2. 他人の POS コインを業者がステーキングする場合

業者が他人の POS コインを使って業務としてステーキングを行う場合、暗号資産交換業(カストディー業)、ファンド業のいずれか、又は両方が適用されないか検討する必要がある

暗号資産交換業(資金決済法 2 条 5 項、法改正後)

1 暗号資産の売買又は他の暗号資産との交換
2 前号に掲げる行為の媒介、取次ぎ又は代理
3 その行う前 2 号に掲げる行為に関して、利用者の金銭の管理を行うこと
4 他人のために暗号資産の管理をすること(当該管理を業として行うことにつき他の法律に特別の規定のある場合を除く。)

暗号資産交換業ガイドライン I-1-2-2(改正後)

③ 法第 2 条第 7 項第 4 号に規定する「他人のために暗号資産の管理をすること」に該当するか否かについては、個別事例ごとに実態に即して実質的に判断するべきであるが、利用者の関与なく、単独又は委託先と共同して、利用者の暗号資産を移転でき得るだけの秘密鍵を保有する場合など、事業者が主体的に利用者の暗号資産の移転を行い得る状態にある場合には、同号に規定する暗号資産の管理に該当する。

ファンド(金商法 2 条 2 項5号、法改正後)

① 組合契約、匿名組合契約、投資事業有限責任組合契約又は有限責任事業組合契約に基づく権利、社団法人の社員権その他の権利のうち、
② 当該権利を有する者(「出資者」)が出資又は拠出をした金銭(改正法施行後は暗号資産も含まれる)
③ を充てて行う事業(「出資対象事業」)から生ずる収益の配当又は当該出資対象事業に係る財産の分配を受けることができる権利で
④ 次のいずれにも該当しないもの
イ 出資者の全員が出資対象事業に関与する場合
ロ 出資者がその出資又は拠出の額を超えて収益の配当又は出資対象事業に係る財産の分配を受けることがない場合
ハ (以下省略)

(1) 秘密鍵を預からずデリゲートを受けるのみ/報酬は直接ユーザーに払われる

秘密鍵の管理をしておらず、カストディー業に該当しない
出資をしているとは考えにくく、ファンドに該当しない
→ 法的な整理としては「無償で」事務の委任を受けているという考え方?
→ 別途フィーをとると有償の委任

(2) 秘密鍵を預からずデリゲートを受けるのみ/報酬は事業者に入り一部がユーザーに払われる

秘密鍵の管理をしておらず、カストディーに該当しない
出資をしているとは考えにくく、ファンドに該当しない
→ 法的な整理としては「有償で」事務の委任を受けているという考え方?

(3) 秘密鍵を預かる/報酬はユーザーに直接支払われる

そういうビジネスモデルはおそらく存在しない
仮にそういうビジネスがあれば法的にはカストディー業。ファンドではない。

(4) 秘密鍵を預かる/報酬は事業者に入りうち一部がユーザーに支払われる

原則として、カストディー業かファンド業のいずれかに該当すると考えざるを得ないのでは(但し、貸付として構成可能な可能性について後述)

カストディー = 他人のために預かる。考え方としては寄託(消費寄託含む)に類似する?以下、単に「預託」と記述

ファンド = 資金を拠出してもらってそれを運用して、収益を分配。以下、単に「出資」と記載

カストディーかファンドかの差異は典型的な場合には判りやすいが、非典型的な場合には悩ましい場合もあり、(4-A)以下で検討する。

なお、カストディーとファンドの両方には該当しないと言うことで良いかも理論的には問題となるが、銀行預金でもありファンドでもある、という事例が存在しないと思われることとの対比からは預かりであり出資でもある、ということはないという整理で良いのでは、と思われる。

(4A) 出資か預託か – 「収益の配当又は当該出資対象事業に係る財産の分配を受けることができる」の要件

一般的には、収益の分配が有る場合には出資であり、収益の分配ではない場合には預託である。

下記①は典型的な預託、下記②は典型的な出資と思われるが、下記③や④のような中間的な形態の場合には悩ましい

① 移転を受けた暗号資産の 100%の返還義務+非収益連動利率(例えば固定利息やLibor など一定の指数に連動の利率)のリワード → 預託
② POS で損失が発生した場合の損失はユーザーが負担+収益に応じたリワード →通常の出資
③ 100%の返還義務+収益連動のリワード → 収益連動の利息付の預託?出資であるが Slashing については Validator のミスであるとして補填している出資契約?収益連動社債との対比からすると前者?金銭についてであるが出資法では元本補填特約付きの出資を禁止していることとの比較すると後者?
④ POS で損失が発生した場合の負担はユーザー+非収益連動利率のリワード → 出資?預託?リワードに上限が付されている出資と考えることのが妥当?

まとめ

  非収益連動利率の報酬 収益連動の報酬
元本保証 ①典型的な預託(カストディ) ③収益連動の利息付の預託?元本補填特約付き出資?
元本保証なし
(Slashing損失をユーザーが負担)
④報酬上限付き出資? ②典型的な出資(ファンド)

(4B) 出資か預託か – 「充てて」の論点

一般的には、ファンドは出資を受けた金銭を運用する。例えば金銭で有価証券を売買して利益を出す。

法改正後は金銭ではなく、「出資を受けた暗号資産を充てて」の場合にもファンド規制に該当する

ステーキングの場合、受け取った暗号資産を通常の意味での運用には出さずに、しかしながら収益が得られる場合がある。

例えば①第三者から秘密鍵の管理の委託を受ける、②当該暗号資産はコールドウォレットでずっと保管し、但し、Voting によるデリゲートは行う、③デリゲートで得た収益を収益連動でユーザーに分配する、というような場合である。

この場合、論点としては「出資を受けた金銭を充てて」の「充てて」の要件が問題となりうる。

「充てて」に該当しない考え方

  • これまでのファンドでは常に金銭が何か他の物に変わっている。現物出資のファンド等は原則として存在しておらず、現物出資をしてそれをそのまま保持して、ということはファンドでは想定していない
  • 例外的に現物出資のファンドの例として競走馬ファンドがあるが、これは一旦金銭で買った競走馬を現物出資をする

「充てて」に該当する考え方

  • 「充てて」について形態を変える、ということは法律上何も書いていない。Voting 権であっても、それを使用して収益を得ている以上、充ててに該当する

現時点の当職の考え

  • 有価証券を業者に預託し、有価証券の配当があった場合、当該配当相当額を預託者に渡す場合 → 単なる預託、ファンドではなく、今後ファンドとして規制する必要性もない
  • 暗号資産を業者に預託し、暗号資産のエアドロップやハードフォークがあった場合、エアドロップやハードフォーク相当分を預託者に渡す → 単なる預託、ファンドではなく、今後ファンドとして規制する必要性もない
  • 上記との比較からすると、預託された財産の売却や処分等が一切なく、預託を受けた財産の管理に付随して収益を得て、それを持ち主に渡しているだけのような場合は、なお預託であり、ファンドではないと考えて良いのではないか。

(4C) 出資でも預託でもない形態 – 貸しコインについて

秘密鍵の管理を任されつつ預託でも出資でもないという方法はないか
→ 法的構成を変えて、暗号資産の貸付であるというスキームにすれば、出資でも預託でもないと言えそう。ただ、貸付か預託かについては差が難しい(貸金か預金かは差が難しい)。
→ 例えば預かりであれば預託者の側から返せ、と言えばすぐに返してもらえるのが原則だが(要求払い、但し定期預金のような例外)、貸付の場合には要求払いではなく、借り手に期限の利益があることが通常
→ 脱法的な場合は預託と見られる。下記ガンドライン参照

暗号資産交換業ガイドライン I-1-2-2 注(改正後)

(注)内閣府令第 23 条第1項第 8 号に規定する暗号資産の借入れは、法第 2 条第 7 項第 4 号に規定する暗号資産の管理には該当しないが、利用者がその請求によっていつでも借り入れた暗号資産の返還を受けることができるなど、暗号資産の借入れと称して、実質的に他人のために暗号資産を管理している場合には、同号に規定する暗号資産の管理に該当する。

→ なお、貸金業法上、規制対象は原則として「金銭」の貸付とされている(貸金業法第2 条)。暗号資産の貸付は金銭の貸付ではなく、脱法的な場合を除き、貸金業法の適用はない。金銭の消費貸借に適用される利息制限法も暗号資産貸付には適用はない。但し暴利行為など民法の一般的条項は適用され得る。

3. 暗号資産交換業者がユーザーから預託を受けたコインでステーキングを行う場合

(1) カストディー業

暗号資産交換業との関係でユーザーから預託を受けているコインに関し、上記 2 で「預託」と見られるような形で暗号資産交換業者がステーキングに参加する場合
→ 既に暗号資産交換業者登録を得ており、カストディー業とされてもそれ自体は問題ない。

(2) ファンド業

他方、ファンドと見られた場合には追加のファンド規制(兼業)。カストディーなのかファンドなのかの区別がどこにあるのかが重要
→ 上記 2 で検討したように、典型的なファンドは判りやすいが中間的な形態にする場合には悩ましい

(3) 暗号資産交換業者(カストディー業者)がステーキングを行う場合の論点

① 交換業者自身が預託コインを使ってステーキングをする場合、当該コインをコールドウォレットに保管したままステーキングできるか?
→ 技術的な問題点。仮にできないとすると交換業者は同額のコインを自己資産から準備する必要あり。
→ Tezos については可能なよう(米 Coinbase 社はコールドウォレット管理と発表3)。例えば、自己保有の Tezos を 1、預託コインを 9 準備し、前者はホットウォレットに入れて Validator Node となる、後者をコールドウォレットに入れ、Validator Node にデリゲート等の仕組みが考えられる。
→ ETH2.0 など、ステーキングにハッキングリスクがあると書かれているコインもあるよう。コールドウォレット保管ではない?そうすると交換業者としてはステーキング困難か?
→ 預託であってもユーザーから同意を得てステーキングしたものはコールドウォレット管理から外すことが法令上、許されるのか(困難そうか?)
② 交換業者が預託コインの秘密鍵を他の第三者に渡して第三者にステーキングして貰うことはできるか
→ 預託資産の再預託となり様々な問題が生じそう
③ 秘密鍵を交換業者自身が保管したまま、第三者にデリゲートしてステーキングして貰うことは問題ないか
→ 業務の外部委託?ただ、暗号資産交換業の委託ではないのではないか
→ これでハッキングの可能性が増加しないかなど監督官庁への説明が必要に?ただ通常はハッキングリスクは増加しないのでは
④ ユーザーに何らかの損失を負担させること
→ ファンドとなる可能性
→ ファンドでなくても、このようにユーザーに損失負担させることにつき監督官庁に何らかの説明が必要?
⑤ 交換業者が自分の保有のコインでステーキングすること
→ 単なる運用であり他業と考える必要はないのでは

Ⅳ ステーキングと税務 (参考)

暗号資産取引による課税は利益(又は損失)が発生するタイミングが重要

基本的な発想として、ステーキングによる報酬を受け取った時点の時価で収入があったと考えて収益認識、更に売却等で利益又は損失が出た場合に収益認識とすることが通常か

具体的ケース
① 自分でステーキングして報酬を受け取り
→ 受け取った時点での時価での収入
② Validator にデリゲートして Validator から報酬を受け取り
→ Validator から受け取った時点での時価での収入
③ 暗号資産交換業者にステーキングを委託
→ 受け取った時点での時価での収入。なお、取引所から暗号資産預託口座に報酬が計算上分配された時点でユーザーが受け取ったとして考える
④ ファンド
→ パススルー課税のファンドの場合、ファンドが受け取った時点で各個人にも収入があったとして計算か

留保事項
本稿の内容は関係当局の確認を経たものではなく、法令上、合理的に考えられる議を記載したものにすぎません。また、当職の現状の考えに過ぎず、当職の考えにも変更がありえます。

本稿は議論用に纏めたものに過ぎません。具体的案件の法律アドバイスが必要な場合には各人の弁護士等にご相談下さい。

以 上